~チャンミンside~
「─────急に、じゃない。」
「え?」
「急に、気が変わったんじゃないよ?」
ソファーに深く腰かけて、・・どこを見るでもなく視線を漂わせながら。
「このままユノと本気でつき合うのが怖くなったのは、本当。
前のように気楽につき合いたいって、逃げたのも本当。」
「────チャンミン?」
ユノの視線を目の端に感じて。
スッと、ユノの目を覗きこむ。
少しだけ不安に揺れる瞳。
───僕の、・・・僕だけの。
「───ただ無理だと思った。イリヤ兄さんに何を言われても、・・。」
一緒に泥だらけになりたいのは、・・・転ぼうが壁にぶち当たろうが、それでも共に立ち上がれるのは。
「やっぱり僕にはユノしか無理だ、って、・・ムカつくけど、思い知らされただけ。」
ふっとユノが目線をはずして、膝についた片肘に顎をあずける。
ふぅ、・・軽いため息と一緒に、
「ちぇ、───かわいくない言い方。」
尖らせた口元が、・・我慢できず思わず緩むのを。
「ばかなヤツ。」
チラッと僕を見て吐き出すように言うけど、・・目頭がちょっとだけ赤いよ?
僕もこのままでは泣けてきそうで、ごまかすように両手をあげ、───ん~~、と伸びをした。
「ユノしか、無理みたい。・・悔しいけど。」
「おまえ、それ言うの何度目?」
くっ、と呆れたように笑うユノ。
───そっか、出逢った頃から変わらない。
僕ばっか同じところをぐるぐる。
結局答えは、一緒。
────ユノしか無理なんだ。
ユノの手がゆっくり僕の頬を包む。
────もう迷うなよ?って。
僕は、うん、って返事の代わりに、
「じゃ、・・・もうビールいい?」
なんて、照れ隠し。
そんなのあっさり無視したユノの唇がゆっくりと僕に重なって。
啄むように何度も、・・重ねては離れ、離れてはまた引き寄せられるように重なる唇。
離れていた時間を取り戻すように永遠に続くかのようなキス。
時々隙間をあけて、僕の顔を覗きこむ。
スッと風が抜けるのに目をあけると、満足げに微笑んで瞼におりてくるキス。
くすぐったくて少しだけ捩った頬を両手で包んで、今度は額に、・・顔のラインを余すことなく辿る。
「──────よかった。」
消えそうな声でポツリと。
「───もう届かないかと、・・チャンミン、間に合って、・・よか、った。」
微かに震える声に、
この暫くのユノの心中が手に取るように胸に響いて、
僕はイリヤ兄さんに癒やしを求めたけど、・・たぶんユノはひとりだったのだと、
胸が締めつけられるような感情。
「────ごめん、っ、・・ユノ。」
ブレることなく真っ直ぐ僕を見つめる目になんの濁りもなかったのに、
「僕が弱くて、・・傷つけた、・・。」
好きだ、という気持ちだけで、逃げずにもっと向き合えばよかった。
俯いてしまった僕の顎をくいっとあげて。
目に入ったのは幸せそうなユノの顔。
「いいさ、もう。・・今、この腕の中に戻ってきた、───それだけで。」
「まえに、ユノとなら転んでもいい、って言っただろ?あん時は分かんなかったけどさ、・・覚悟つーか、俺も足りなかったみたいで。」
チュッ、と照れくさそうにひとつだけキスをおとす。
「この一ヶ月間、すげー考えたし、いろいろ調べたり。」
「おまえに広い世界を見せてやる、って約束はもう俺のものだし。」
─────だから俺についてきて?ずっと側で、ずっと一緒に。
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いつも読んでくださってありがとうございます♪
さて、明日はアメ限です。
アメンバーの申請をしてくださっても、最近ほとんどアメ限ないし(‥;)
って事で、かなり緩いですがσ(^_^;
そしてアメ限は1話で終わらせたかったので、通常の2話分の長さです。
朝早くから覗いてくださるかた、すみません^^;
そのような表現がありますので、苦手な方は避けてくださいね。
見なくても話は通じますので。
では、よろしくです(^_^)ゞ