~チャンミンside~
────はぁ、・・ユノ?両手を外して?
久しぶりのユノをこの手で感じたいのに、僕の両手は頭上で拘束されたまま。
「まだ駄目。」
軽く断られて。
「・・・イリヤ兄さんは、・・いいの?」
ちょっと拗ねたような掠れた声。
「だからっ、・・イリヤ兄さんとはそんなんじゃない。・・それに、ユノが、・・恋人って気づいてたし。///」
「マジで?///」
嬉しそーな声。
この暗闇の中では声だけが頼りだから、分かりやすいくらいのユノの声色に思わず頬が緩む。
「ホームセンターで、すっげ睨んだの気づいたか?」
──あと僕の寝言ね。
「なぁ、いいかげん教えろよ?・・どうして急に気が変わった?」
───あ、チャンミン、・・舌だせよ?
とか、・・ついでのように言う。
真剣に話したいんだろうけど、身体だけどうにも暴走中。
お互い両手が自由にならないからって、ぐいぐい腰を押しつけるのやめろよ!
睨んでも暗闇ではまったく効果はないし。
蹴飛ばしてやろうと片足をあげたら、そのままユノの足に挟まれた。
「舌っ、!!」
責めるように言われて、思わず出した舌を、──チュポ、と吸われたり、・・。
それが絡まりはじめたら、───もう話なんか出来ないのに。
「ユ、ユノ、・・!!」
「スるか、・・話すか、どっちかにしろっ!」
僕が本気で身体を捩ったのに気づいて、
「──────話す。」
ポツリと言ってすべての拘束を解いた。
「ぷはっ、・・暑い~~っ、!!」
毛布から出た僕達は全力疾走したように汗だくで、
────ぷっ、
お互いの顔を見て、思わず吹きだした。
「さっきまで凍えてたヤツとは思えないな?」
「ユノだって前髪がおでこに貼っついて格好悪りぃ。」
って事で、せっかくためた風呂に当初とは違う目的で入ることになった。
中途半端に昂ぶった身体が何だか気まずくて、・・それに久しぶりのユノの裸。
─────ちょっと、痩せた?
聞いたら、・・おまえもな?って返された。
風呂上がり、Tシャツとスウェット姿でかしこまったようにソファーに座る男2人。
「え、~と。」
改めてどーぞ、と言われても話しにくいな。
「・・僕の部屋着、もう捨てたかと思った。」
まぁ、ユノだから、引っ越しでもしないかぎりタンスの整理なんてしそうもないけど。
────で、無言。
「前に来たときより部屋もきれいだし。・・掃除してくれる人、いるの?」
────まだ、無言。
「なに?ユノ。無視すんなよ?冷静になって、やっぱ僕とは喋んのも嫌だとか?」
────それでも、無言。
はぁぁ、・・・、わざとらしくため息吐いて、
「ビール飲も。」
捨ててなければ僕が買いだめしてた1ヶ月前のビールがあるはず。
スッと立ちあがってキッチンへ向かう僕を、後ろ手にいきなり掴んできて。
「ちゃんと話すまで、ビールはおあずけ。」って。
ちょっと飲まないと話しにくいんだけどな?
────駄目?
少しだけ甘えた仕草で言ってみてもやっぱり無視するから、だったら僕も無視しよ、って強引にキッチンへ行こうとする身体ごとソファーへ引き戻されて、
「っ、痛っ──!!」
もしかして、むちゃくちゃ怒ってる?
もう一緒にはいられない、って言ってみたり
他の男の部屋に転がり込んだり。
それで急に離れたくない、とか、ユノの全部が欲しいとか、
───なんだ?スゲー勝手じゃん、僕。