~チャンミンside~
「…なぁ、…おまえ、……なんなの?」
突然、腰に回された手に、ピクッと身体が跳ねた。
掴まれた右腕は痛いほどで。
「…っな、/////、…なんですか?」
「……おまえ、なに?…どうして、すぐ出てくんの?」
「……は?」
─────意味が、分かんない。
「…俺。節操ないよ?…誰でもいいからさ。────おまえは溜まんねぇの?」
ニヤッと笑って覗きこんでくる。
カァッ、ってまた頬に朱がさして。
「あ、あなたと一緒にするなっ。…僕は特別な人しかいらない。」
「…ふん。…マジかよ?…さすが天使ちゃんだな?」
皮肉っぽく歪んだ唇に、イラッとした。
抑えこんでいた感情がどんどん溢れてきて。
「…なんですか?…いつも天使ちゃん、天使ちゃんって!…僕は、…そんなんじゃない。」
「……僕は、…汚い。」
「……偶然、…身体を売ろうとした相手が、…事務所の社長だったんだ。」
「……え?」
掴まれた腕が驚きと動揺で緩む隙に、グッと振りほどいて背中を向けた。
「…あなたが僕にどんな印象を持ってるか知らないけど。…僕は、施設の玄関先に置いていかれた、ただの捨て子で。」
「………生きるために、…身体を売ろうとした、…汚い男です。」
─────ほら?…軽蔑して言葉もない?
僕はずっと嫌だった。
あなたが事あるごとに、──さすが、天使ちゃん。とか、からかうように言ってくるのが…いたたまれなかったんだ。
……これで更に僕とは関わろうとはしないであろう、その人をフッと見やる。
「……ユノ、…さん?」
僕をじっと見つめる、真剣な顔。
いつもどこか投げやりだったり、ふざけているこの人のこんな顔は初めてだ。
「……なぁ、…それなのに、…どうしてそんなに、キレイ…なんだ?」
「……は?」
────だからっ、…汚い、って。
「…!!///////」
突然、背中から抱きしめられて、これ以上ないくらい心臓が跳ねた。
「…だからっ、…どうしてそんなに、…一生懸命で、キレイな心のままなんだ?」
「………それは、あなたが勝手にっ!」
背中から首筋に埋めたあなたの息が熱い。
微かに震える腕の中で。
もう、昼間の嫌な香りは消えていて、…ただあなたの匂いだけ。
「……僕は、…キレイじゃない。…天使なんかじゃ、…ないんです。」
真っ白な天井を仰ぎ見る。
こうしていないと滲んだ雫が溢れてきてしまいそうだったから。
ふいに離れたあなた。
僕の両肩を掴んで、スッと身体をひっくり返した。
目線の位置が一緒だから、…そんな瞳で見られたら、……どうしたらいいのか。
真っすぐな視線を避けるように瞳を伏せた。
ポロッと、一筋、…零れた涙。
急いで拭おうとした手を掴まれて。
近づいてきたあなたの気配に。
スッとあげた視線。
──────重なった唇。