────────リヨン?
一緒にバイトするようになって1年くらい経つけど……こんなリヨン初めてで。
男どもが下ネタで盛り上がってても、アハハーって笑ってながすタイプなのに。
「……リヨンさん?…もしかして…。」
チャンミンが真っ赤になってるリヨンと、そんな事気にもとめず、相変わらず俺を睨んでくるユノを交互にみてる。
「……あ、あの…あははっ。…ユノさんって、理工の女子にもすごい人気で…私も……ちょっと、ファン、みたいな、…ね。」
たどたどしく話すリヨン。
俺がユノと幼なじみって知ってるのに、そんな事初めて聞いた。
……そういや、…俺の高校時代の話とか、ダンスサークルの話とかよくふってくるけど……最初は、俺のこと?って誤解しちゃうくらいには。
まぁ、その割には甘い雰囲気になるわけでもなく、本当に誤解って…嫌でも分かっちゃったんだけどね。
なぁんだ…ユノのファンなら言ってくれればさ、情報…いろいろ回してやったのに。
ユノのファンなんて、ウジャウジャいるんだからさ!……って、何だか面白くない。
ユノはやっぱりこの微妙な空気を読めないのか…俺に耳打ちで、その席を譲れとかウルサいし。
「……ユノ。良かったら一緒しませんか?」って、可愛く微笑む鈍感チャンミンもいて。
「…ん。……いいの?」って、途端に甘~い目しちゃったユノが一緒に来たツレの所にひとこと断りを入れに席を離れる。
「……あ、あのさ、…チャンミンくんって、年下なのに…ユノさんの事、ユノって呼ぶのね。」
まだ顔が赤いまま、俯き加減に呟くリヨンと。
「あー、…うん。////あの、…ユノが、そう呼べって……/////」
途端……カァ///っと、赤面して俯いちゃったチャンミンと。
─────おいおい。お見合いかよ。って、感じで。
急いで戻ってきたユノが、……もしかして俺がチャンミンの横の席を空けるのを待ってる?……一向に座ろうとしない。
「……ユノ!!」
鈍感だけど気が回るチャンミン。
リヨンがユノの為に空けた俺の向かいの席…チャンミンの斜め前に座るよう目で合図をする。
────チャンミン、強くなったよなぁ、って思う。
あの、元カノと遭遇して涙した2ヶ月前のチャンミンはもういない。
………あぁ、むちゃくちゃユノに愛されちゃってんだろうなぁ、って想像に難くない。
ユノは、…まぁ…先に惚れた方が負けなのか、完全に骨抜きだよ。
リヨン!!…こんな骨抜き男のどこがいいんだぁーーっ、って俺の心の叫びが昼の学食に響いた。