逢いたくて逢いたくて(3) | えりんぎのブログ





僕はどうしても、この大学の理工学部に入りたくて、無理やり両親に頼み込んだから、仕送りも家賃分しか貰わず、生活費は自分で稼ぐしかなくて……

理工学部は文系の学部に比べ実技なども多く、忙しい。

入学して前期の間は授業に慣れるまで、それまでの貯金で生活して、そろそろ…と思って、近くて時給がいい、このバイトを選んだのだけど……

初めてのバイトは思っていたより体はきついし、人と話すのが苦手な僕が接客とか……早まったかな?と思い始めていた


ごきげんに鼻歌をうたいながら慣れた手付きで床をモップがけしていくユノ。


そういえば、ユノって大学生なのかな?

結構バイト入ってるし、フリーター?

ユノが何も言わないから、僕も何も聞かなくて……

ほとんど一緒に入っているのに、僕はユノの事、何も知らない。

それなのに今夜、家に泊めるなんて、僕は憂うつでたまらない。



全く役に立たない傘をさして走って帰ったけど、家に着いた時には2人とも全身びしょ濡れで……

ひとり暮らし用の1DKのアパートの鍵を開けながら、
「ユノが最初にシャワーどうぞ。
買い置きの下着あるんで、全部貸しますから。」
って言うと、髪の毛からしたたり落ちる雫を拭いもせず、濡れて身体にはりついたTシャツが思いのほか厚みのある胸板と引き締まった張りのある腹筋を強調していて、あまりの色気に目を奪われそう…

とりあえず、ユノの背中をぐんぐん押して部屋に押し込み、
「後から着替え持って行きますから、そのままシャワーへ行ってください。」
って、視線を反らしながら早口で伝えるとバスタオルをユノへ手渡した。

「へぇ……キレイにしてるな。さすが、チャンミナ。」
なんて言いながら、呑気にキョロキョロしているユノ


────もう早く行ってくれよ!後がつかえてんだから……!


イライラする僕の空気を微妙に感じとったのか、肩をすくめながらユノは風呂場へ消えていった。