GPFが中止になってしまった先週末、本来なら期間的に行けないはずだった「中央アジア今昔映画祭」とちょっと興味持ってた「クナシリ」の鑑賞に行けちゃうなと思い、土日の2日間で映画祭2本+クナシリの3本まとめて観てきた。しかも日曜は朝ミッドタウンでスケート、その後映画館ハシゴして夜はローラーポールのレッスンというハードな日程に。
私、普段劇場で映画見ることほとんどないんですが…3本で合計4800円で、日本で映画見るとなんて高いんだ。しかしこういう観に行かないと観れないものは行っておかなければ。
まず土曜日、渋谷のユーロスペースで行われている中央アジア今昔映画祭の初日へ。
この日の上映作品はトルクメニスタン映画「黄色い雄牛の夜」。1948年に起こったアシガバード地震を題材にした作品。制作されたのは90年代だが、映像の質といかにもアズブチカだなぁという音声の不自然さが年代以上の古さを感じる。
旧ソ連の映画って撮影後に音声を後入れしていて、その制作方法が今でも継続してるのか私が関わったキルギス映画も当然のように「アズブチカ」が行われた。しかも役者のスケジュールが合わないとかそんな程度の理由で実写版と違う役者が声を入れたり、その専門の声優もいるらしい。そうなると演技の功績の約半分は声優だと思うので、声の担当ももっと脚光を浴びるべきと思うのだが。
(ちなみに私もキルギス映画で日本ロケ部分の役者をキルギスまで呼べないという理由で声の出演してます…演技は大根だけど)
で、この映画。中央アジアあるあるなんだけど地域の人の関わりが密なので、誰が家族で誰が親戚で誰がご近所さんなのか、初見では人間関係が把握しきれず物語の流れを追うのが難しかった。途中ウトウトしちゃったせいもあるが…。
物語は戦争で父が行方不明なった少年が送る家族や友人たち送る日常生活の中にスターリン体制下で不当な扱いを受けるトルクメン人たちの姿が描かれる。地震のシーンは記録ビデオとオーバーラップする演出?あれは本当の記録ビデオだったのか、そういう演出だったのか。
そして少年は地震で全てを失い、再び立ち上がり街を復興すると決意をした所で物語は終わるのだが、上映後にあった梶山先生の解説によるとこの少年は戦争と地震で孤児になったニヤゾフ前大統領がモデルらしい。ニヤゾフ政権下のトルクメン映画はとにかく「ニヤゾフマンセー」な作りじゃないといけなかったようで、別作品では何の脈絡もなくニヤゾフ氏の著書が登場したりするらしい(この映画は何年か前の中央アジアイベントで上映されたという話は聞いたことある)。しかしニヤゾフ氏はこの映画の遠回しなマンセー演出は気に入らなかったのか、作品は上映禁止になったのだった…。
2日目は朝ミッドタウンで滑ったあと、同じく渋谷にあるイメージフォーラムで上映中の「クナシリ」を鑑賞。北方領土、国後島の生活をソ連出身フランス在住の監督が取材したドキュメンタリー映画。島民へのインタビューが淡々と続くので運動後の身には体力的キツくてところどころ寝落ち…。
島民の暮らしはとても質素。「国は島の生活のことなど考えてない」という言葉も「日本はこの領海が欲しいだけでここで生活しようとは考えてない」という言葉もリアル。実際、日本もロシアも島そのものより領海が欲しいんだろうなぁ。でも現地のロシア人は基本的には国後島の帰属には当然ながら疑問は感じてないんだろうが、日本人との共同生活ができれば雇用が生まれ技術も入ってくるので島の暮らしはもっと良くなると考えているよう。野外博物館を作る計画について「日本人は我々の戦車が好きみたいだから」の話しているのには見透かされてる…と苦笑してしまった。
この作品は2部作になる予定で、今はコロナで中断してるけど次作は根室で日本人側に焦点を当てるらしい。これはぜひ実現させて欲しい。
個人的にはどちらの領土かということは置いといて、北方領土自由に行き来できるようにして欲しいんですけどね…。
お茶休憩して渋谷を歩いて移動し中央アジア今昔映画祭の2日目へ。この日はカザフスタンの有名なミュージカル映画「テュベテイカをかぶった天使」が上映された。こちらは60年代の作品だけど、48年のアシガバードとそれから20年後のアルマティ、同じソ連構成国の首都でもぜんっぜん違う!アルマティ、めっちゃ都会。というか、ファッションとかツイスト踊ってるところは60年代だけど、流行を追いかける若者と伝統的な服装のご年配が混在する街の雰囲気は今とあまり変わらないかも。
物語は28才になっても独身の息子を心配したお母さんが結婚相手探しにやっきになる話なのだが、街で綺麗な独身の子見かけたら片っ端から声かけて家に招待して息子を紹介するという荒ぶりよう。息子はカタブツ教師で仕事一筋故に奥手という設定だったはずなのだが一目惚れした相手にはストーカーレベルのアタック、というか日本なら完全にストーカー。カザフ人の価値観、この頃と比べてもあんま変わらん印象だな。一応劇中でも女子学生たちが「親が決めた相手と結婚なんて古臭い」と嘲笑する場面があるんだけど…。
なおこの主人公28才男子、めっちゃ老けてます。初めて出てきたときお母さんの旦那かとおもった…。「天使」というのはこのお母さんが息子をそう例えるんだけど、見た目ぜんぜん天使じゃないからwwwたしかにこのオッサンがいつまでもオカンの世話になってたらみんな心配するわという納得はめちゃめちゃした。なおこの主人公演じた俳優さんは今年コロナで亡くなったそうです…。
ミュージカル映画なので劇中歌が登場するんだけど、これがいかにもロシアン演歌で私好みです。
劇中歌だけ集めた動画あったので置いときます。
あとデニスがショーで使ったカザフ民謡「ヤプライ」も劇中に登場します。スピスケだけどメデウのスケートシーンもあった。
上映後にはドンブラの練習でお世話になってる東田先生のトークショーが。それによるとこの映画も当然音声は後入れなんだけど、何回かの編集を経て声の役者が変わったりセリフそのものが変わったりしてるそう。なのでけっこう口と合ってない。歌も後入れなんだけどその中で曲そのものが差し替えられているところがあるそう。そこ、役者がギター持ってるのにギターの音じゃないのでめちゃ不自然だと思ってたんだよね…。
というわけで、映画見まくった週末でした。クナシリも中央アジア今昔映画祭も上映はまだ続いてるので、ご興味あればぜひ足をお運びください。映画祭は他にも見たい作品あるけど日程が合わず私はこれで終了。残念。