2019GW旅5〜アルマトイへ〜 | Dombyra-dee-dee〜中央アジアの無駄話とスケートとたまに旅行記〜

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中央アジアと日本を行き来しているくだらない日常とフィギュアスケートと旅行記など。カザフスタンの話とデニス・テン君の話が多いです。
コロナ禍以降はもっぱら国内旅行の話。最近は自分でも滑るのでその合宿関連多め。

朝5時に予約していたタクシーが来て、Mさんの家を後にした。ここからは旅の後半、アルマトイへと向かう。



万博後にアスタナを訪れるのも3回目となると球にそれほど感動もなく、今回は隣接するMEGAにも寄らなかった。球の周りにあるかつて各国のパビリオンが入っていた建物は、ITセンターとして再始動している。



なおブレまくりだが万博近くにあるのはまだ「I ❤️ ASTANA」。これも次来る時にはNUR-SULTANに変わっているだろう。というか、次はいつだ?今年後半に直行便が出来たら、ここを経由してどこかに行くことはありそうかな。

アルマトイでいつ何をするか決めかねていた。最終日の5日を除いて予報が全て雨なのだ。お墓まいりも雨だと足元が厳しいから晴れる予定の最終日に行きたい。でもミニデニスグッズを受け取ってからでないと容量の空きがわからないのでお土産買うのも後回しににしたい。でも土曜日は山に行く予定だし、でもそれも雨ならわからないし…。何から片付けて良いかよくわからなくなっていた。



8:40、アルマトイに到着。ここでは万博の同僚で同ポジションの中で唯一のカザフ人、ティム(ニックネーム)が迎えに来てくれた。万博時は日本拠点だったが、この3月に実家のアルマトイに戻ったのだ。彼からも日本のわさびやらマスクやらを頼まれていて、更に別の万博同僚にお金を貸したままカザフに帰ってきてしまったそうで、それを私の口座に振り込んで貰いテンゲで返すという役割も担っている(笑)。



宿は今回もデニスのおばあちゃん家があるマンションの一部屋。高価なドンブラを買うので個室と決めていたが、探していた日にちょうどタイムセールを行なっていて一番上に出てきたので他を探すのも面倒で即決。現在デニスのご両親は出張中、ガウハルも新婚旅行中なので顔を合わせることはない。

今回はオーナーらしき男性ではなく、とても人の良さそうなルームキーパーのおばちゃんが対応してくれた。

ティムは11時から病院に行くそうで、それまでの間で行けるところに連れてくよ、と言ってくれた。雨でも片付けられる用事、ドンブラの引き取りを優先したかったがドンブラ職人と連絡が取れない。事前に連絡を取り合った際、2日までに作っておくと書いてあったのに。



なので急遽、デニスの生家に出来たメモリアルレリーフを観に行くことにした。正確な場所を知らなかったので完成当時の記事を探す。地下鉄ジベック・ジョリ駅の北、ナザルバエフ通りとマカタエフ通りの交差点にあるマンションだった。



デニスの名前と姿が刻まれたプレート。今更だがカザフ語になると父称も「ユーリエヴィチ」から「ユーリィウル」に変わるんだな。デニスの名前がこうして街の中に残るのは誇らしいけど、もっと後で良かった。今はまだ壁に刻まれるんじゃなくて、本人がここに当たり前のように帰ってくるはずだったのに。

ティムが病院に行っている間部屋で用事を片付けているうちに晴れ間が見えてきた。これ、もしかしたら今日のうちにお墓まいりに行けるかも。



病院から戻ってきたティムはラグマンがオススメのレストランを予約してくれていた。デニステン財団のあるハルクアリーナへ向かう道の途中にある。


グイルーラグマンとジュサイラグマンをシェア。ラグマンの好みはグイルー(キルギスだとギューローだった)と呼ばれる種類の、麺の上に炒めた具と肉が乗ってるもの一辺倒だったが、最近ジュサイラグマンと呼ばれるニラ玉ラグマンが好きだ。




天気が持ちそうなので、このまま墓地まで連れて行って貰うことにした。通りがかりの花屋さん(あまり良いものがなかったので何軒か回った)でお花を購入し、前回の記憶を頼りに向かう。墓地までは地図でわかったが、イスラム教とキリスト教で分かれている入口がわからず周りをぐるぐる。イスラム教の方の入口にいた人に聞いて、前回入ったキリスト教エリアの入口にたどり着いた。

その入口さえわかればデニスのお墓は大きな花輪に囲まれていて目立つので探しやすい。8ヶ月ぶりに訪れてみたら、経年というものをどうしても感じてしまった。鉄製の墓石は錆が増え、供えられた写真は雨風に晒され汚れがこびり着き、変色している。生きていれば、見た目が年老いてはいっても砂埃は自分で祓えるのに。デニスの時間は止まってしまっているというのを嫌でも思い出させる。

前日に訪れたファンの方々が供えていった花を挿している花瓶がわりのペットボトルが嵐で倒れてしまっていた。デニスが眠る土の上に飛び散った花びらを、小さな蟻が運んでいて、生と死のコントラストというものを感じた。ティムが水を汲んできて直してくれたので、用意してきた花もそこに加えさせて貰った。

急に来てしまったので、どんな言葉をかけたら良いかわからなかった。もう散々伝えたし、何度言っても同じになっちゃうからなぁ。手紙も「毎回同じだからわざわざ書く必要あるかなぁ」と迷ってずっと筆が進まなかったのだが、ティムが一人にしてくれたのでその間に本当にシンプルな言葉を残した。



帰りにティムの家に寄って、12歳歳下の弟くん(美少年!)とケーキをいただいた。と言っても、弟くんは「恥ずかしいから部屋で食べる」と引きこもってしまったんだが(笑)。



そうしているうちにサプリ受け渡し予定のサビーナから連絡が来たので、指定してきたエセンタイ・モールへ移動。デザイナーの彼女、SNS見てると国内外のファッションショーに出展してとても忙しそうだが、カリナの話によると国による若手芸術家支援プログラムのようなものに入ったらしい。国が一部負担してくれたおかげで大きなアトリエを構えたが残りのローン返済のためにかなりの受注を取っているらしく、カリナ曰く「身内なのに大統領並みに連絡が取れない」ほど忙しいんだそうだ。

モール内のカフェで夕食を食べているうちに時間は23時近く。再び雨足が強まっていた。アスタナと違いこの時期のアルマトイはもうセントラルヒーティングが止まっているので、中途半端な気温の時は部屋が寒い。デニスの家もそうだったのかな、とか思いながら、体を丸めて寝た。