葉子は今布団の上でこれを

かいている。心寂しく、また温かく。新たな始まりの章を迎えたのだと、自分に言い聞かせる。


こめかみにそっと、ふれてみる。

  そう言えばこの前Dr.は貴女が楽しければ良いと言っていた。

どういう意味だろう。


ジャスミンティーをのみながら

斉藤茂吉の短歌を読む。結構渋い。

斉藤茂吉と、その息子斉藤茂太、二人とも医者であった。葉子は息子の茂太先生が好きだった。何でも、

心は言葉からと善くかいていた。


こんな夜は悪いことを

言わないように、

無口でいるのがいい。

風鈴がチリンと鳴った。


夏が近いのだと

少し微笑んだ。

続く