久しく出てこなかった アイツ
アイツが 久しぶりに 僕に言った
君 君最近悩み事が尽きないね
え?あ、うん
そうだね
僕は なぜこんなにも 嫌われるのだろう
すると アイツは言った
もっと ゆっくりと 歩く
君には見えないのかい?
あの 青い空と 太陽に 大きな 緑が茂り
花が咲き 鳥がさえずる
春なのだよ
そうだね
きみは 今 越えようとしている 壁に
不満ばかり言っているけれど
とアイツは言う
じつは 感謝されているのかもしれない
君は もっと 堂々として
歩いていれば いいのだよ
そしていつも 自分の 心の中の コップに
どれくらい辛さや 悲しみが
入っているのか
楽しさや 嬉しさが 入っているのか
よく見るのだ
それが 僕が 今の君に
言える アドバイスだよ
とアイツは 微笑んだ
アイツが 急に 頼もしく 見えた
終わり