私たちNPOが長くフィリピンで活動させてただける現地背景に

文化人類学者の清水展先生がおられます。

清水展 - Wikipedia

 

未だ自給自足の暮らしを維持している少数民族アエタや、

世界遺産のある棚田と暮らしてきたイフガオ族のことを調べておられると思っていたら、

フィリピン人の子育てについても、論文書かれてました。

 

今回、2月に調査に来られていて

子育てのお話になりました。

 

フィリピンは、どの階級でも

赤ちゃんたち、子育て中のママの助っ人はたくさんいます。

 

だから、赤ちゃんの欲求は概ね誰かが叶えてくれる。

抱いて欲しい、遊んでほしい、この姿勢は気持ち悪いから…などなど

言葉にならない赤ちゃんの欲求を、皆が読み取ります。

 

「この子は立て抱きが好きなのね」

(まだ生後2週間でも、多くの子は縦抱き好きです)

 

「この子は動く車が好きなの」

と、朝から夕方まで、工事現場に入り込み

昼寝、食事以外はそこへ連れてくれる人材がいたりします。

(そんな暇な人材がいるって本当に貴重)

 

井戸端ならぬ、日々ご近所交流有り。

「この子はお外が良いのよ」


ママも気分転換できまくりです。

 

今は、いろいろと育児環境も自然が失われ、スマホがあちこち、、、



清水先生の調査してこられた50年から40年前は、赤ちゃんは周囲から甘やかされ、

 とことん欲求を満たされて育ちます。

(とことん携帯見せるじゃないですよ!何でも買ってあげるでもないですよ!)


この世界は自分を愛してくれる、

この世界は自分を受け入れてくれる、

この世界は自分を理解しようとしてくれる、


日々、この世界は信頼できると経験して行くこと。


ご近所さんはじめ、多くの人の手で育つ。

子供の年になったら、下の子たちの子守要員へと立場が代わりますが、たっぷり愛されているから、それも受け入れて行きます。


反抗期がとっても穏やかなのも、たくさんの人の関わりの中で育つから。

こういう子育て世界、取り戻したいですね。
日本にもかつて有った風景だと思います。



清水先生の論文

『子供をめぐる家族と社会』1994年、

社会科学論集、九州大学教養部社会科学科紀要、第34集。