先週末のこと。アランが私のオフィス(といってもホームオフィス)に来て私のアカウントでオンライン•ショッピングしだしました。しばらくかかりそうで床に寝そべっていたら、カーペットの表面の細かなゴミが気になりました。それで、「さすがにこれは掃除機かけなくちゃ、、」と自分に言い聞かせるよう呟いたら、アランが「僕がやってあげるよ!」。

 

 彼も掃除にはとんと関心がない人なので、冗談かと思ったら、即座に掃除機をとりにいって、私の部屋に掃除機かけてくれました。それも椅子や床に置いてある様々な物をすべて部屋の外に出し、全面敷きのカーペットの上に二重敷してあるチベットのエリア•ラグも剥がして、その裏側まで掃除機かけるという念の入れよう。

 

 うちの掃除機は老いぼれダイソンなので10分くらいで生き絶え絶えになります。従来のアランだと、充電している間に掃除中だったことはすっかり忘れて仕事に戻り、それっきりになるのですが、この日は充電を待ちかねるかのように戻ってきて、結局、私の部屋だけでなく家中に掃除機かけてくれました。

 

 これは実はアランにとっては画期的で、私にとっても感慨深い出来事でした。気揚々と掃除機をかけられたのは、アランが長年抱えていた発達性トラウマの後遺症からいつのまにか完璧に開放されていた証拠!!!だと思ったからです。

 

 掃除機の音がするといつもアランの機嫌が悪くなることには結婚当初から気づいていたものの、音がうるさいからイラつくのも当然だと思っていました。が、数年前、私がトラウマ解消の認定ファシリテーターになる訓練期間中に、アランを練習台にしたときのこと。本人は気づいていないけれど今の対人関係の弱点の原因となっている過去のトラウマをからだに残る感覚記憶から過去に探っていくホログラフィック•メモリー•レゾリューションという手法を試したら、アランの脳裏に浮かんだのは、幼児の頃に居間で遊んでいたら、母親が突然怒りだし、床に散らかっているおもちゃを蹴散らしながら掃除機をかけ始め、恐怖におののいた、という子供時代のシーンだったのです。
 

 それ以前にも、家の庭に猫が姿を現したら母親が石を投げつけて追い払うのが常だった、とか、時々癇癪を起こした母親に積み木を投げつけられた、などという昔話はおもしろおかしくアランが話してくれていました。でも、母親が子供の知育に熱心で、よくパズルやワードゲームで遊んでもらったし、変わり者のアランを常に暖かく受け入れてくれたという思い出もあるので、アラン自身は自分の母親はちょっとキツイ性格だけど良い母親だと常々言っていました。

 

 とはいえ、潜在意識では母親の掃除が恐怖体験として記憶されていたのなら、それはいわゆる「発達性トラウマ」に違いありません。そう思った私はアランやアランの母親に掃除機事件に至った詳細をアランやアランの母親から聞き出しました。

 

 アランの母親のリーは、大学院生の時には国立研究所でがん研究の研究助手としてマウスに毎日発がん剤注射していたインテリですが、マウスが可哀想だとも思わなかったそうなので、エモーショナル•インテリジェンスには欠けるタイプ。同じく大学院生だったアランの父と結婚、早々にふたりの男の子を生み、夫が生涯雇用の教授職を得たカンザス州の小さな田舎町に家族で引っ越したら、超保守的な土地柄で、女性の研究職などなく仕方なく専業主婦になり、大学院出というだけで共産党員ではないかと疑われたので、その噂を打ち消すために教会通いを始めたそうです。そこで、またも「出来ちゃった子」がアラン。「中絶は違法だし、階段からわざと飛び降りたりしても自然流産できなかったので、諦めて栄養摂取に気を配り始めた」そうです。

 

 アランの父親は教授職と同時進行で博士号の最後の難関の卒論に苦闘していたので殆んど家にもおらず育児にはノータッチ。そんな状況で、3人の息子が居間の床におもちゃを広げて楽しいそうに遊んでいるとリーの鬱憤が爆発、「Dumb kids! (バカ息子!)」と罵しりながら子どもたちが遊んでいる最中の部屋に掃除機をかけだしたのだそうです。掃除機の音がすると3兄弟は顔を見合わせて一目散に子供部屋に逃げるという自己防衛の習性がついたものの、さらに逆上した母親に後ろから積み木などを投げつけられることもあったということでした。

 

 そんな状態が数年続き、母親は結局は感情をコントロールできず幼子に当たり散らす自分は異常だと思うようになり医師に相談、当時の医学の常識だった女性のヒステリーの治療法としてヒステレクトミー(子宮全摘出)を受けたそうですが、リーの父親も兄も癇癪もちだったそうで遺伝の影響もあったのか、その後もリーの怒りの爆発がなくなったわけではなかったようです。

 

 それでも、アランは近所の友達が父親からいつも怒鳴られたり殴られたりしているのもみていたので、特に自分の育ちに問題があったとか、トラウマを抱えたという自覚はまったくなかったそうです。が、振り返ってみれば、普通にしていたお母さんがいつ恐怖の魔王に変身するか分からなかったのに戦々恐々としていたのは事実。いつも頭の隅に不安を抱えて暮らしていたのかもしれない、とのことでした。

それで、しっかり大人になってからも掃除機の音がすると、潜在意識に残された記憶から、脳は今そこに危険にあると勘違いして、生存本能を発揮、「逃げるか、戦うか、死んだふりするか」のストレス反応を起動。アランの場合には、「戦う」戦略で怒りの感情が湧き上がっていた、という仕組みです。

 

 こうした発達性トラウマの後遺症は、もちろん掃除機への反発といったひとつの事象には留まらず、その人の人格形成や今の対人関係にも様々な影響を与えることがわかっています。と考えていくと、アランの場合には、これまでやり手の女性の上司を苦手としてきたのも、自分では認識せずとも、母親を彷彿させる女性に不安感を覚えていたせいかもしれません。

 幸い、発達性トラウマは解消可能で、その原因を突き止め、それが今の自分には危害を与えない過去の出来事であると認識できれば、潜在意識にあった不安や怒りといったネガティブな感情が解消され、脳の神経回路がリセットされます。

 

 アランの場合には、私のトラウマ解消の練習台になってくれただけでなく、昨年、思いがけず病気になり、その完治に向けて、西洋医学だけでなく、様々なヒーラーの助けも経て心身魂レベルまでしっかりクリーンアップしたことがまさに怪我の巧妙となり、掃除機の背後に隠れていた母原トラウマもしっかり克服できたようです。

 

 と、ここまで書いてきたところで、私自身におきた掃除に関わる出来事も突然思い出しました。確か中学1年生の時、放課後の教室の一斉清掃の時間に、ほうきで教室の床を履いていたら、やる気なさが丸出しだったのか、担任の先生が寄ってきて、「まさに四角い部屋を丸くはくとは君のことだ。家で掃除の手伝いをしていないようだね」と言われたのです。

 

  やさしいおじいちゃん先生だったし、とくに叱られたというよりからかわれた感じだったのですが、今でも覚えているところをみると、自信喪失や劣等感につながるプチトラウマになっていたのかもしれません。

 

 人生はトラウマの学校、人は誰もが過去の産物。いかにして過去からの自己呪縛を解いて人生の可能性を広げていくか、が人生ゲームの面白さのようにも思えます。

 

 

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