大阪市生野区で起きた下校中の事故について | 今井絵理子オフィシャルブログ Powered by Ameba

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あまりにも胸が痛むニュースが飛び込んできました。

 聴覚特別支援学校に通う児童の列にショベルカーが突入し、児童1人がお亡くなりになり、教員2名を含む4名が重軽傷を負われたということです。 お亡くなりになられた女の子のご冥福を心よりお祈りするとともに、怪我を負われた方々にお見舞いを申し上げます。
 
通学時の児童・生徒の列に車が突入する事故が絶えません。 建設現場は学校のすぐ側でした。安全確保のための体制は整っていたのでしょうか。 子どもたちが安心して通学ができるように学校や自治体、事業者、地域が連携をとって対応していく必要があります。
 
障がいの有無に関わらずすべての子どもたちが安全に過ごすことができる社会を、私たち大人が責任をもってつくらなければなりません。
 
私にはろう学校に通う息子がいます。 
聴覚に障がいのある子どもを育てる親にとって、通学を含めた"移動"は最も不安な行動の一つです。 その不安が現実になってしまった今回の事故は他人事ではなく、今も胸が締め付けられる思いです。 聴覚に障がいがあるということは、情報の収集が非常に困難だということです。
 
"聞こえない"という世界を想像してみてください。

視線を向けた方向以外の情報がない世界を。 

事故をおこした車両はショベルカーです。進入速度は歩くかそれより少し速い程度だったようです。 耳が聞こえていれば、接近する車両の音に気づき振り向くことができたかもしれない…。
 
テレビ各局の多くはショベルカーの進入により特別支援学校の児童が被害者となる事故が起きたと報道するものでしたが、児童の聴覚に障がいがあったがゆえに大きな事故につながった可能性について触れているものはほとんどありませんでした。
 
みなさんに知っていただきたいことがあります。
 
聴覚に障がいがあることを外観から判断することは非常に難しいということ。

聴覚に障がいがある人に、手の届かない距離で危険を伝えることは非常に難しいこと。 

聴覚に障がいがある人は、感じとることができる情報が少ないために”移動”が必ずしも容易ではないということ。

聴覚に障がいがある児童・生徒の多くは特別支援学校に遠方から通学しているということ。  
 
今回の痛ましい事故から学ぶべきことはたくさんあります。 

たとえば、地方まかせになっている障がい者の「移動支援」について。

自治体によって支援の方法や、行動範囲、移動目的、費用負担の有無など、サービスの対象や内容はさまざまです。地域の特性に応じた対応ができるという利点がある一方で、本来必要なサービスが欠落する可能性もあります。
 
多くの自治体ではサービスの対象となる障がい種を、視覚障がい・肢体障がい・知的障がい・精神障がいとし、聴覚障がいが含まれていません。これは、聴覚に障がいのある人にとって”移動”が容易なものであるという誤った認識によるものだと思われます。 
 
18歳以下の聴覚障がい児に限って「移動支援」の対象としている自治体もありますが、通学のための移動には適用されないことがほとんどです。支援の対象となる移動の目的は「社会上必要不可欠な外出」や「余暇活動等の社会参加のための外出」に限られており、通学など通年かつ長期にわたる移動については対象とならないからです。
 
仮にそれを認めることができたとしても、スクールバスを運行している学校もあるなか重複する移動の支援になる可能性もあるため、予算の出処が文部科学省と厚生労働省という異なる省庁間での調整が困難であるという縦割行政の壁にぶつかることになります。
 
議員になって以後、「移動支援」の対象を聴覚障がい者にも拡充することや通学にも適用できるようにすることを厚生労働省や文部科学省に訴えてきましたが、結果が出る前にこのような事故が起きたことが悔やまれてなりません。 
二度とこのような悲劇が起きないためにも、私にできることを命がけでやりとげていきます。 

すべての子どもたちが安全に過ごすことができる社会を作るために。