大ローマ展@愛知県美術館 | えりっき脳内議事録(えり丸)

えりっき脳内議事録(えり丸)

Diary and memo written by a pathologist.

ローマとポンペイの特別展が開催中でしたので,友達と行ってきました.

目玉は,ユリウス=クラウディス朝時代の以下の3つの作品群.
 ・ モザイクの噴水
 ・ 庭園の風景(南壁)
 ・ 庭園の風景(東壁)

いずれも,ボスコアーレ・アンティクアリウムが所蔵しています.
ボスコアーレBoscorealeというのは,イタリアの町の名前らしいです.
アンティクアリウムAntiquariumとは,古美術館という意味です,たぶんね.

ポンペイはイタリアのナポリ近郊のローマ時代の都市遺跡.
この街は,紀元79年のヴェスビオ火山の大噴火により,火山灰で埋没してしまう.
これら3つの作品は,ポンペイの「黄金の腕環の家」とよばれる個人の豪邸の内装だそうだ.

これらのフレスコ画やモザイクにより,この豪邸の生活を再現したというのが,とても面白かった.
この邸宅の夏の食堂(下図の31)に半円形のモザイクの噴水が設置され,
その噴水の水は上から階段状に緩やかに流れ落ちていたという.
この噴水が展示されていて,モザイクと貝殻による修飾が実に見事であった.
この場で,涼みをとりながら,皆が寝そべって談笑しながら食事をしたそうである.

目の前には,涼をとるための葡萄の木棚,そしてキューッピッドの噴水があり,
さらに遠景には美しい庭園と,地中海が見渡せたそうだ.

食堂の隣には居間(下図32)があったのだという.
ここは空間こそせまいものの,3方面の壁全てに,庭園を模したフレスコ画が描かれていた.
要するに,壁のない一方向には,庭つまり本物の緑と,遠景の海,
3方の壁には,庭が永遠に続いているかの様な錯覚に包まれるような壁画があるのだ.
緑豊かな庭園の木々や草木の間に小鳥たちがいるという,楽園そのもののような絵であった.
今回は,その南壁と東壁のフレスコ画が展示されていた.

火山の噴火による埋没という悲劇故に,フレスコ画の保存状態も非常に良好だったのだろうか.
美しい発色で,2000年前のものとはとても思えなかった.
また,当時の人々がどのような暮らしをしていたのかを,CG復元映像で
少し垣間見れたのが,なかなかに貴重な体験であった.
この豊かな,余裕さえ伺える生活空間で,何を思い,余暇をすごしたのだろう...



えり丸-ポンペイ


図の引用はこちら
http://www.picure.l.u-tokyo.ac.jp/pompei/framing_start.php?dir_id=d0918