今週のNature記事で、がんの体細胞変異を網羅的に調べたという記事があった。
調べたのは、タバコ暴露によるSCLC(ref.1)と、悪性黒色腫にリンパ腫を併発した同一人物(ref.2)の
ゲノム解析を行ったというものであった。
内容とは関係あるようなないようなですが、二本の論文のFirst Autherは同一人物。
使用した機種は違うけれども、どちらもヒトゲノム30憶塩基対の配列を読み、解析したという内容だ。
こういう解析をDeep Seequencing等と呼び、つい1,2年前から普及し始めている手法である。
新技術を駆使した論文は、内容が大したことがなくても有名雑誌に掲載されるもんだなぁ。
つい先日、パターン認識に批判的な記事を書いたばかりだが、
塩基配列の情報は、データが膨大すぎて、どう料理するかが、研究の質を決定するといえるだろう。
で、情報の料理過程をここで説明しても、ダレるだけなので、そこは省略する。
要旨は、タバコによる遺伝子変異(SCLCの原因)は、わりと部位特異的に起こり、
紫外線による遺伝子変異(メラノーマの原因)は、全ゲノムに均一に起こるということだ。
それだけが目新しい知見だったように思う。
逆に言うと、膨大すぎるデータを料理しきれていない感がたっぷりでした。
Reference:
1. A small-cell lung cancer genome with complex signatures of tobacco exposure
Nature 463, 184-190 (14 January 2010)
2. A comprehensive catalogue of somatic mutations from a human cancer genome
Nature 463, 191-196 (14 January 2010)