32.⑤

美乃里「はぁ…」

(会いたい…な…素直になるってどうやるんだろ…

普通の恋愛ってどうしたらいいんだろう…

今までは偽りばかりだったから…気楽だった

…だけど寂しかった

今は…なんか苦しいけど…幸せ?な気がする

これが普通の恋愛ってことでいいの?

はぁ…この歳でも恋愛ってこんなに悩むんだ…)

美乃里は天井を見上げて目を瞑る


深く深呼吸をする

(考えたくない…仕事…しよう)


仕事に集中することにした美乃里

気が付くと時計は12時を回っていた

(集中したなぁ…もうこんな時間だ)


美乃里「守さんから連絡なしか…」

(刑事さんって大変なんだなぁ…凄いな…)

美乃里は寝支度を整えて

部屋の電気を消し、寝室のベッドに転がった


美乃里「はぁー」

(守さんの匂いだ…落ち着くなぁ)


そのまま眠りについた美乃里


(お母さん、お母さん、お母さんどこ?)

暗闇で母親を探す美乃里

(美乃里、大丈夫よ…)(大丈夫だから)

聞こえるのは母親の声だけで美乃里は暗闇の中

母親を探し続ける


夢の中の美乃里は泣いていて

(お母さん、昴、どこなの…)

2人を探し続ける


(美乃里、お前がやれ)

後ろから聞こえたのは父親の声

(ほら、これ持て)

夢の中の美乃里は大きく首を振る

(じゃあ俺が教えてやるよ)


(はぁはぁはぁっ、お願い、お願いしますお父さん)


「…り、…のり、美乃里、」

「はぁっ、はぁっ」


美乃里は目を覚ます

美乃里「はぁっ、はぁ…守さん…」

荒い呼吸で涙でぐしゃぐしゃになった顔の美乃里


守「大丈夫、美乃里、大丈夫だよ」

そんな美乃里を優しく抱きしめる守


守「怖かったな…美乃里…俺がいるから」

守は美乃里の髪の毛を優しく撫でる

呼吸が落ち着いてきた美乃里は守の顔を見る


美乃里「守さん?」

守「ん?」

美乃里「ありが…とう」

か細く絞り出した美乃里の声


守「ご飯、美味しかったよ、ありがとう」

守は美乃里の頭をポンポンっと優しく撫でる

美乃里「ぅん、お仕事…お疲れ様です」

守「ありがとう、水持ってくるね」

美乃里は頷いて返事をする

守「はい」

美乃里は持ってきてくれた水を飲み干し

コップを片付けにいく守

壁の時計はAM2:43を指している


寝室のドアが開き、美乃里に声を掛ける守

守「美乃里、もう少し一緒にいてもいい?」

頷く美乃里


(そう言えば…あの日の夢を見るって智さんに聞いたな…)

守「美乃里は、いつも怖い夢見るの?」

守の声はとても優しく美乃里に問いかける


美乃里「うーん…そうだね…

見ない日は数えるくらいしか…それこそ守さんといると見ない時多いかもしれないなぁ」

明るく振る舞おうとする美乃里

守「そっか…」

そう言って美乃里の頭を撫で、手を握る守


守「どんな夢か…どんな事があったのか…話せる?


美乃里、俺を信じて

絶対に大丈夫だから」


ベット側の電気が優しく灯り、薄暗い部屋の中

揺れる美乃里の瞳を真っ直ぐに見つめて

優しくも力強く手を握り、力強い眼差しを向ける守


美乃里は少しの沈黙の後、話し出す…

あの日の真実を…