32.③

美乃里は守の後を追う

美乃里「でも、私が勝手に作るって言ったのに

それに泊まらせて頂いてるので」

とお金を守に返す美乃里


美乃里の頭にポンッと手を置き

守「大丈夫、後で沢山もらうから」

とニコッと意地悪に笑う守


美乃里「…はい

あ、じゃあ…これ」


美乃里は守の手を引き、背伸びをすると守に優しいキスをして

美乃里「朝のお返しです」

と意地悪く笑った


ポカンとびっくりした守だったが、直ぐに表情を変えて

守「足りない」

ともう一度、美乃里からのキスよりも優しくないキスをする


美乃里「ま、守さん、ん…仕事」

守は美乃里から唇を離すと意地悪な笑顔を見せ、

美乃里は照れた顔で守を見つめる

守「はぁい、じゃあ行ってくるね」

美乃里「行ってらっしゃい、守さん

帰り、待ってます」

優しく微笑み手を振る美乃里


守は美乃里の頭を優しく撫で、出て行った


バタン


(やべぇ、俺…)

守はエレベーターに乗りながら頭を抱えた


(あーもう会いたい…早く帰りたい)


美乃里を想いながら仕事場まで向かう守

智樹「よぉ、守」


守「あ、智さんおはようございます」

智樹「お前…なんかいい事あったのか?」

守「んーっ」

守は持っていた珈琲を吹き出しそうになる


守「ケホッ、智さん…何者っすか?」

智樹「ハッハッハ、お前が分かりやすいだけだ

顔に、いい事ありましたって書いてあるぞ」

智樹はケラケラと笑っていた

守は笑っている智樹を見ながら口角をあげる


智樹「ウキウキした顔して楽しみがありそうだが…

そんなお前に残念なお知らせだ」

守「なんすか?」

智樹「今日は徹夜だ…調べたい事件がある」

守「はい」

智樹「あからさまに沈むな」

智樹は守の肩をポンッと叩く


守「え?どこがですか?全然顔色変わってないですよ」

智樹「俺から見たら変わってんだ」

そう言ってガハハ、と笑う智樹


(いや…そうだめちゃくちゃショックだ俺は

あー美乃里さんと一緒に手作りの夕飯を食べたかった…

美乃里さんごめん、今日は遅くなる…

後で電話するか…はぁ…)