32.①

(あの日、あの日、あの日…)

やめてください、あなた…美乃里だけは美乃里だけは…

(そうだ…お母さんが私を生かしてくれた)

じゃあ、美乃里にやらせるか?クククグハッハッハッ

(はァっ、はっ…あの笑い声…苦しい…)


美乃里「はぁっ、はぁはぁ…はぁ、夢…か」

(最悪、いつの間にか寝ちゃった…

電気つけっぱなしだ…ごめんなさい守さん…)

携帯を見ると時刻はAM3:28


美乃里は静かにキッチンへ行き冷蔵庫から水を取り出し飲み干す

美乃里「はぁ…」

小さくため息をつく美乃里


(走りに行ったら守さん心配するよね…

はぁ…苦しいなぁ…守さんの傍にいきたい…)


美乃里は真っ暗な部屋でぼーっと考える


(はぁ、守さんと向き合いたいのに…

怖い

誰にも言ったことない…あの日のことは…

私の気持ちなんて誰にも伝わらない

あの日だって…みんな私を腫れ物に触るみたいに扱って

可哀想な目で見てた…

守さんにそんなふうにされたら…私は…)


美乃里「どうなるんだろ…」


美乃里は守の眠る寝室へ向かう

そおっと扉を開ける

美乃里「守さん…」

美乃里は小さな声で呟く


(寝てるよね…起こしちゃダメだよね…

でも、外にも行けないし…

考えちゃうから1人になりたくないなぁ)


美乃里は静かに部屋に入ると扉を閉めた

守が眠るベッドに腰掛ける


(守さん…ごめんなさい…少しだけ隣りにいたい)

守の隣りに横になる美乃里は守の手を優しく握る

(温かいなぁ…守さん…だいす)


守「ん?美乃里?」

守は少し驚きつつも優しい声で呼びかける

美乃里「守さん…起こしちゃってごめんなさい…

少しだけ隣りにいてもいいですか?」

守の手をキュッと握り小さな声で話しかける美乃里


守「ん、おいで」


仰向けで寝ていた守は美乃里の手を優しく離すと

美乃里の方へ体の向きを変え、

優しく腕枕をし、美乃里を抱きしめた


守「美乃里、大丈夫だよ」

優しく声を掛ける守は美乃里の頭を優しく撫でる


守の腕の中にすっぽりと入った美乃里

(温かいなぁ…守さん…ありがとう、守さん…)

美乃里は心地良さを感じ、直ぐに眠りについた


美乃里「すぅ…すぅ…」


守は美乃里の寝息を聞きながら優しく微笑む

(ふぅ…やべぇ…可愛すぎる、嬉しすぎる

俺の心音うるさくないか?ドキドキがやべぇ…)


しばらく美乃里の寝息を聞いていた守は

目を閉じ、美乃里をそっとキツく抱きしめた

(なんかあったか?眠れなかったか?

もっと早く気付いてやれば良かった…ごめん…)


守も美乃里を抱きしめて眠りについた