21.②

(こうして、変わらない日常に溶け込んで

毎日過ごしてたんだな…

私の気持ちや涼介がこの世に居るっていう日常は変わったはずなのに

この社会は何も変わらないし、時間は同じように進んでいくんだよな…

そう思うと、自分が気付かないだけで

変わってゆくものは沢山あるんだろうな…

私の中で変わったものがあるように

きっとあの人も、あの人も今日、何か変わってしまった事があるのかもしれない…

私はこのままでいいのかな…)


かれん 「そろそろ始まるね、行こうか」

美乃里 「うん、またお昼一緒に食べよ」

かれん 「私、今日お昼まで会議あるから先に休憩室で待ってて〜」

美乃里 「分かった、また後でね」

かれんはそのまま会議室へ、美乃里は自分のオフィスに戻る


(あの日、守さんからの連絡は無くて

私も連絡する事はなかった…また連絡しますと言ったのは私なのに…

2日後に連絡はあったけど忙しいと返してしまった

何度か連絡はあったのに…返すことはなかった

ただ、怖かった。守さんの優しさに甘えてしまうのが

強くいなければいけない私に

守さんは寄り添う場所を与えてくれようとしていたのかもしれないけど私はそれを受け入れられなかった…

もう誰も私のせいで不幸にしたくない…)


ピコン


《さっき向かいのコンビニで守さん見た〜

やっぱり刑事さんってパン食べながら待ち伏せとかするのかな 笑》

かれんからメッセージと画像が届く

画像には守ともう1人刑事が写っており、守の手には菓子パンとコーヒーが握られていた


美乃里 「守さん…」


《盗撮で捕まるぞ〜笑》

美乃里はかれんにメールを返す


(ちょうど守さんのこと考えてる時に…)

美乃里はなんだか胸が締め付けられる思いだった


智樹 「お前どうした?」

守 「何がっすか?」

智樹 「あからさまに元気が無さすぎるだろ」

守 「え?そうっすか?」

智樹 「気付いてないのか?重症だなそれは


…恋の病か?」

守 「智さん」

守は呆れ顔で智樹を見る

智樹 「ガハハハハッ、すまん」

守 「はあー俺、なんかしたんすかね…」

智樹 「だから言っただろ

気持ちの整理が着くまで待ってやれって

お前は優しいから気にかけ過ぎちゃうんだよ

もっとほっとけ」

守 「気になっちゃうじゃないっすか…

好きな人は守ってやりたくなるでしょ?智さんだって」

智樹 「いや、俺は好きな人だけじゃなくて

悪からどんな人でも守りたい…

なんてったって俺は刑事だからな!ガハハッ」

守 「はい、はい」


ふざけて大笑いする智樹に呆れる守


智樹 「まあ、気長に待て

お前が守るべき人なら必ずまたタイミングが来るさ」

守 「なーんか認めたくないけど

智さんが言うとそうなる気がするんすよね

認めたくないんすけどね…」

守は首を傾げながら歩く

智樹 「だろ?」

智樹は得意気な顔をしながら車に乗り込んだ


守 「今日の張り込み夕方まで長いっすね」

智樹 「刑事らしくコンビニで菓子パンでも買ってくか」

守「そんなんやった事無いっすよ」

智樹 「だからやるんだろ?いつもと違うことをするから

いつもと違う何かが起こるもんだろ

気分転換だよ、気分転換」

守 「へーい、じゃ俺は定番の焼きそばパンで決まりっす」

智樹 「お、いいなあ」


2人は現場近くに車を停める

智樹 「歩いて行くか、この裏側に確かコンビニがあったな」

守 「美乃里さんの会社側っすね」

智樹 「もう仕事行ってんのか?」

守「そんなこと俺が知ってたらこんなに落ち込んでると思いますか?」

智樹 「それもそうだな、知る訳ねぇか」

守 「はぁ…」

智樹 「バッタリ会えたりして」

可愛く目をキラキラさせる智樹


守 「期待させないでくださいよ」

智樹 「アハハハハ」

守 「笑い事じゃないっす…」

智樹 「仕事の張り込みより美乃里ちゃんの張り込みのがしたいよなーガハハハハッ」

守は智樹を呆れ顔で見ていた

(そりゃぁ出来るならそうしたいっすよ…

また連絡でもしたらしつこくて嫌われちゃうかな…)


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