21.①

あの日、皐月さんに会ったあの日、

私はもう…許してもいいのかもしれない…と

私は私の罪を許していいのかもしれない…

私が、私を責めていることで

皐月さん達は苦しんでしまっているのかもしれないと

本当は頭では分かっていた


それでも私が、私を奮い立たせるのは

自分を責めることでしか強く立っていられなくて…


そうでしょ?

だからあの日から毎日この夢を見るんだよね?

ねぇ…お父さん…

やめて、やめて、お願いお父さんっ…


「ハアハアハアハア…はァっ…」


(あーまたいつの間にか寝ちゃった

久しぶりで早く来たのが間違いだったな…)

美乃里は水筒の水を飲み干す


ガチャ

かれん 「美乃里〜久しぶり!体調はどう?

もう会社来て大丈夫?私も美乃里が早く着くって行ってたから早く来ちゃったじゃん」

ニコッと笑うかれんは相変わらず可愛かった


美乃里 「心配かけてごめんね、、

もう、だいぶ大丈夫だよ仕事も有給使いすぎちゃった」

美乃里は優しく笑う


(ニュースになった涼介の死と洋平くんと雅紀くんの逮捕

直ぐにかれんから連絡が来たけど私は返せなかった…

連絡を返せたのはつい最近で

雅紀くんと私の関係の事は言えなかった…

変に心配かけたくないし…あの合コンで出会ってなければって…かれんに負担をかけたくなかった

かれんはこんな偶然あるんだね、と言っていたけど

本当は全て私のせいだ…

かれんは私を思って涼介の死を一緒に泣いてくれた…

どうして私はいつも周りの人を笑顔に出来ないんだろう)


かれん 「美乃里〜おーい!美乃里〜」

美乃里 「あ、ごめん…ぼーっとしちゃって」

美乃里は笑って誤魔化す

かれん 「大丈夫?まだ無理してるんじゃない?休む?」

心配そうなかれんの顔

(あーだから、こんな顔させたいんじゃないのに

しっかりしろ私!)


美乃里 「本当にもう全然大丈夫!

今日さ久しぶりの仕事だから早く起きすぎちゃって

今になって眠くなって、ぼーっとしちゃった

いつものこと」

美乃里はなるべく平然と答え、いつもの笑顔でかれんを見る

かれん 「本当に?無理してない?」

美乃里 「本当に大丈夫!

かれんこそどうなの?あれから話し聞けてなかったから聞かせてよ!

まだ時間あるし下でコーヒーでも買いに行こう」

美乃里とかれんは部屋を出て、1階のカフェへ向かった


かれん 「それがさ、なーんか微妙な流れで

光太が奥さんに全部話して離婚しようってなったんだけど離婚届のサインって所でなんか急に離婚しないって言い出して…

それで光太が色々 問い詰めたら奥さん妊娠中だって言って…」

美乃里 「え?」

かれん 「そう、びっくりでしょ?

だけど光太は絶対に俺の子じゃないってなって

そりゃぁ、光太はレスって言ってたし、有り得ないって

言うんだけど奥さんは光太の子どもって言い張るの

もう私はどっちが本当の事を言ってるのか分かんなくって…」

美乃里 「そりゃぁそうよね」

かれん 「うん、だからどうしたらいい?ってなって

ずっとDNA検査を奥さんが拒否してたんだけど

最近になって承諾してくれて…今DNAの検査結果待ち」

美乃里 「それは大変だね…」

かれん 「でしょ?

だけど夫婦の事は夫婦にしか分からないことがあるからさ

私は待つことしか出来ないんだけどね」

美乃里 「かれんは強いね…」

かれん 「え?これって普通でしょ?」

美乃里 「その普通が出来ない人の方が世の中多いんじゃない?」


美乃里とかれんは久しぶりの再会でお喋りに夢中だった

そしてこんな普通の日常を待ち望んでいた美乃里


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