13.⑧

「コンコン」

ドアが開き、底には警察官と50代くらいの女性がいた

警察 「ごめんね、雅紀くんの引き取り手決まったからお迎え来てもらったよ」

雅紀 「おばさん?」

叔母 「雅紀くん、久しぶり

早苗が電話で雅紀くんの事よく話してたわよ

主人が亡くなって10年だから会うのは葬儀以来よね…

大きくなったわね…」

叔母さんはどことなく母さんに似て、本当に柔らかい人だ。早苗は母さんの名前で妹が殺されたのに

雅紀に心配かけまいととても気を配っているのが分かる

雅紀 「叔母さんが…」

叔母 「そうよ、早苗が亡くなって寂しいけれど

一緒に頑張って生きましょう…」

涙目で微笑む叔母


それから手続きをして、雅紀は叔母さんに引き取られる形で隣町へ行くことになった

雅紀 「洋平、また落ち着いたら連絡するな」

洋平 「ああ、必ず待ってる」


2人はその日から別々の道へ行き

雅紀は高校受験を辞め、働くことにした

バイトをかけ持ちし、バイト代の半分をお世話になってる叔母さんへ渡してそれ以外は貯金し続けた


洋平もまた、変わらず素行は悪いが中学卒業後に知り合いの店で働くことになった


雅紀は何度か洋平と連絡を取り、元気だと伝えていた


洋平は中学卒業の春に雅紀に一通のメールを送った


俺ら25歳になったら会おう!

それまで真面目に生きて、大金を貯めようぜ


そして2人は25歳で再会する


ちょうどあの日と同じ様な寒い冬の日

洋平が25歳を迎えた1ヶ月後

洋平 「雅紀、明日いつも待ち合わせしたコンビニ来れるか?」

雅紀 「分かった」

洋平 「じゃぁ21時に」

雅紀 「ああ、明日な」

電話を切った雅紀はあの日の事を少し思い出しながら

久しぶりに行くあの場所に緊張していた…


次の日の仕事はあまり手につかなかった

時刻はPM8:13

仕事を終え、着替えをする雅紀

雅紀 「行くか…」

通帳を確認し、鞄にしまった雅紀は車に乗り込み待ち合わせ場所に向かう


その頃、同じくして洋平も少し遠くから待ち合わせ場所に向かっていた


先に着いたのは洋平だった

洋平は車で雅紀を待つ

そして、洋平もまた同じように通帳を確認していた


洋平が通帳を確認していると

コンコン

窓越しにニカッと微笑む雅紀

雅紀はドアを開け洋平の車に乗り込む