10.③

時刻はPM7:40、お店は混みだしていた

この間の綺麗な店員さんが来て

雅紀 「よう」

店員 「いらっしゃいませ」

店員さんは美乃里に微笑む

雅紀 「あいつ持ってきたか?」

店員 「華に置いてる」

雅紀 「分かった、洋平が来たら部屋に通して」

店員 「分かった」

雅紀 「美乃里、行こ」

雅紀は美乃里の手を引くと前回と同じで奥の部屋へと入って行く


いつもの美乃里だったらお店に着くと

周りを観察し、人の変化に敏感だ

雅紀と店員の会話にも敏感のはずだったのに

今日の美乃里は雅紀に夢中だった…


だから気付かなかった

美乃里を心配そうに見る視線にも…


PM7:30

智貴さん、到着しました

また連絡します


守は同期の森川 悟(もりかわ さとる)と一緒にカフェへ来店した

守 「バレないようにな、悟、目つき怖いぞ」

悟 「ごめん俺、なんか緊張しちゃって」

守 「今日、何か起こる訳じゃないんだから普通にしろ」

悟 「だよな、にしても男2人…恥ずかしいな」

守 「それは…だな」

店員 「いらっしゃいませ」

守 「あ、どうも」

店員 「また直ぐに来て下さりありがとうございます」

守 「あ、いえ、ご飯が美味しくてとても気に入りました」

店員 「ありがとうございます」

可愛く微笑む店員さんは

この間の店員さんで守に気付き声を掛けてきた


悟 「あの子お前に惚れてるぞ」

守 「そんな訳無いだろ営業スマイルだよ」

悟 「いや、俺の感は鋭い」

守 「そんな事はどうでもいいんだよ」

悟 「俺が女だった」

守 「待て」

(来た…女の子と一緒だ…)

悟 「来たか?」

守 「気付かれないように見ろよ」

悟 「あぁ、顔は確認した」

2人は平然を装い、男の顔を確認した

守 「美乃里さん…」

悟 「なに?」

守 「いや、何でもない」

悟 「この間の女性と一緒か?」

守 「いや、この間連れてた女性じゃない」

(美乃里さんが何であの男と…)



あの男はやっぱり奥の部屋へと入っていった

俺は心配で仕方なかった、嫌な予感がして

胸の奥がゾワゾワして直ぐにでも声を掛けたかった


俺がこの時、声を掛けていたら変わっていただろうか…


..