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今着きました、店内は若者、カップルが多くて
情報通り流行りのオシャレなカフェです
また分かり次第連絡します
俺は智貴さんにメールを打つと
自然に周りを見渡しながら店員の顔や客層、
店の作りを頭にインプットしていく
ハル 「それにしても守がこんなオシャレなカフェ知ってるなんてな〜彼女でも出来たのか?」
守 「そんなんじゃないって
ほら、俺って美味しいご飯好きじゃん?
ここ美味しいって聞いて流石に1人じゃ行きにくくて…」
たか 「まあーな、俺はこの前彼女と来たけど
確かに美味かった 特に女子は好きそうだな」
守 「やっぱ、こんだけ流行るだけあるよな」
ハル 「守も彼女作って来たらどうだ?最近どうなのよ?」
守 「いらないかな、今は」
のぶ 「さっきコンビニでランニング中の女の人めっちゃ見てなかった?」
ハル、たか 「え?まぢ?」
守 「知り合いに似てただけだから」
少し照れながら答える守
男4人、普段の会話を楽しみながらも
守だけは周りに意識を集中させる
店員のホールはほぼ全員女性か…
リーダーっぽい人はあの金髪の女性だけで
あとはバイトっぽいな…
色々偵察をしていると金髪の男が入ってきた
こんな所に1人で?従業員か?
こんな時間から出勤なはずないよな…
リーダーらしき女性と少し話し奥へと入って行った
奥に席なんてないよな?
従業員なのか?
守 「ちょっと俺トイレ」
守は席を立ちトイレを探すフリをする
(どっちに行った?こっち側か?)
俺は奥に進んでみた
店員 「どうされましたか?華の席の方ですか?」
守 「あ、ごめんなさいお手洗いを探してまして…」
店員 「あ、ああ、お手洗いですね、こちらです」
守 「ありがとうございます」
店員 「失礼します」
店員は小走りでリーダーらしき人の所へ行った
守は聞き逃さなかった
(あの店員は華の席と言った
俺がお手洗いを探していると言うと
不味いことを言ってしまったというような顔をした
間違いない。他に特別な席があるはずだ)
お手洗いを終えるとリーダーらしき女性が守に目線を向けている
きっとさっきの店員さんが華の席と言ってしまったことを報告したのだろう
(俺は確実にマークされているこのまま探って感づかれては困る今日はこのくらいにしよう…)
さっきの店員さんが前から歩いてくる
守 「あ、先程はすみません。
お店始めてで、直ぐに案内して下さり助かりました」
守はペコッと頭を下げて自分の席に戻る
視界の端で店員さんがリーダーらしき人に報告しに行ったのを確認した
(2人とも険しい顔から安堵した顔に変わったから
上手くマークは外せただろう…
まだまだは課題は沢山ありそうだが今日はここまでかな…)
守は友達との食事に集中しようとした
その時、
奥からあの金髪男が出てきてその腕には
だいぶ歳の離れた女性がくっついている
(どういう事だ?)
女性の様子は普通だが普通じゃない感じもする
金髪男はリーダーらしき女性に声を掛けて女性を連れて出て行った
追い掛けたかったが智貴さんからの言葉を思い出す
(1人行動は絶対するな
今日はあくまで下見で偵察だ
余計な動きをしてバレてしまえば終わりだ)
守 「あー美味かったなー」
はる 「なっ!」
守 「そろそろ出るか」
たか 「 行くかー」
守たちはお会計を済ませ、店を出る
守 「あー丁度よく上司から仕事の呼び出しだー
また遊ぼうぜー」
はる 「おお、お疲れ様〜またな〜」
たか 「気をつけてな〜」
てる 「ファイトー」
俺は普段から上司によく呼ばれて帰るから特に怪しむ様子もなく先に家路に着く
(智さんに電話しなきゃ)
智貴 「はい」
智貴はワンコールで電話に出た
守 「お疲れ様です、今どちらに?」
智貴 「近くだ、角のコンビニまで来れるか?」
守 「すぐ行きます」
電話を切ると守はコンビニまで走る
「ガチャ」
守は智貴の車に乗り込む
守「お疲れ様です」
智貴 「おーお疲れさん、どうだった?」
守 「あのカフェで間違いないっすね」
守は先程の情報を全て智貴に話す
智貴 「このまま進めるか…」
守 「そうですね…」
智貴 「明後日くらいにもう一度行けるか?」
守 「行けます」
智貴 「よろしくな」
守 「はい」
…動き出す
闇は知らないところでどんどん動き出して
どん底に誘い込む
まるで蟻地獄のようにみんなを砂の底に吸い込んでいく
這い上がるのが難しい、底の下まで…