年が変わった1月3日、まだまだ正月気分の抜けない日々
そんな日々も少しずつ動き出す、そして変わり出す
平凡な日々だと思っていた事でも一瞬で変わっていく
良い方にも、悪い方にも…
智貴 「守〜資料出来たか?」
守 「はい」
智貴 「ちょっと難しいよな
とりあえずまだ探りが必要だな
表向きの可能性もある」
守 「そうですよね…
記者も嗅ぎつけてるみたいで
変に動かれて逃げられたら困りますね」
智貴 「そうだな…守、今日の夜空いてるか?」
守 「大丈夫っす」
智貴 「俺はちょっとおじさんすぎるから…
お前、女友達とかいないのか?」
守 「女の子は…ちょっと、はい、すみません」
智貴 「じゃぁ、男2人だと怪しいから
友達何人か連れて行けるか?」
守 「分かりました」
守は早速友達にアポを取り、予定をつける
智貴 「守、頼むな
あくまでも自然体でただただ友達と楽しんで来いよ
過度な捜査はするな」
守 「はい、ありがとうございます」
智貴 「何かあったら直ぐに連絡しろ」
守 「はい」
…
あれから守は母親と2人で沢山のことを
乗り越えてきたと思う
母親が精神を病んでしまった時も
守は揺るがなかった、強かったな…
きっと1人でも沢山のことを乗り越えてきた
あの日から守をずっと見てきた
守が高校を卒業する時
「僕は智貴さんみたいな警察官になりたいです。
父さんは医者は人を救えるんだ
守れる、助けられるんだ。だから誇らしい
そんな事をよく話していました。
僕は医者だけが人を救えるとは思っていません
智貴さんみたいな警察官になって
僕が救われたように、僕も人を救いたいです、守りたいです。
父さんが望んだ僕ではないですが、僕は僕自身が決めた道を進むことで父さんが敷いたレールに囚われず進める気がするんです」
真っ直ぐにそんな事を話す守が一段と大人びて
まだまだ子どもでいいのにな…
そんな立派な言葉を並べずに、苦しいと言って泣く姿でも見せてくれれば
俺もお前に何か…父親とは言わないが
1人の大人として、人生の先輩として何か言ってやれるのに…お前からは学ぶことばかりだ。
「守、お前は今のままで十分だ。
お前の人生は素晴らしいものになる
お前が決めた道が正しいに決まってる
俺が大先輩になるな」
智貴は溢れ出しそうな涙を堪えて守の頭をぐしゃぐしゃと撫でた
そして守もまた、溢れ出しそうな涙を拭っていた
。。。