6.②

(私は知らなかった

自分とは無縁だと思っていたものが意外と近くにあるものだってことを

ただあの日、あの時 声を掛けていれば…

あたしがコンビニに寄ることがなければ…

そんなタラレバばかりを並べて…)


美乃里 「ただいま〜」

(かれんはもちろんまだ寝てるよね)


朝日が登り始めてカーテンの隙間からはキラキラと光が差し込む

美乃里 「少し仕事しよう…」


美乃里はコーヒーを入れ、パソコンを開き相談者からの連絡を確認する

ギャンブルでお金を全部使い果たしてしまいました。明日からどうやって生活したらいいか…もう、どん底です


彼氏に振られました。もう立ち直れなくて人生どん底です…


会社でいじめを受けています。辛くて辛くて毎日がどん底です。


(しょうもなさ過ぎて飽き飽きする

お金払ってまで聞くこと?

お金ないのに3000円払って相談してくるこの人の気持ちが全然理解出来ない

ギャンブルで使い果たしたって…呆れるしかない

振られたね〜それが恋愛だよね〜失恋は時間が解決してくれるし案外その失恋の気持ちって大事だったりするんだよね〜まぁ、青春だよ青春!!

いじめね…大人でもあるよね、学生達の若かりし、軽はずみで、みたいに思われがちだけど大人でも全然あるよね。ただ、答えなんて辞めるか、自分が変わるかしかなくない?)


そんな事をグチグチと頭では思いながらも

丁寧に返信していく

カタカタカタカタカタ…


かれん 「んん〜」

ベッドから聞こえるかれんの声

美乃里 「起きた?おはよう〜」

かれん 「おはよ」

まだまだ眠そうなかれんにクスッと笑みをこぼす美乃里

美乃里 「まだ寝る?」

かれん 「ん〜起きる…頭いたーい」

美乃里 「水飲みな〜」

美乃里はかれんに水を渡し隣に座る


美乃里 「ねぇ、かれん、さっきコンビニ行ったんだげどね」

かれん 「うん」

美乃里 「昨日の合コンにいた雅紀くん?」

かれん 「あーうん、うん」

美乃里 「雅紀くんがさ40代くらいのなんか派手派手しい女の人といてさ」

かれん 「えー、うんうん」

美乃里 「すっごい違和感 感じたんだよね」

かれん 「何が?」

美乃里 「 二重人格?ってくらい俺様でさ

女の人は雅紀くんが好きっぽかったけど

雅紀くんはめちゃくちゃうぜぇって感じでさ

他にも代わりはいくらでもいるんだから、的な」

かれん 「えー昨日の感じからはあんまり想像つかないね」

美乃里 「そうなの!

しかも代わりはいるって何の代わり?

彼女の代わり?それとも遊びの代わり?」

かれん 「あの見た目でね、なんか怖いね

人は見かけによらないってこの事だね」

美乃里 「本当にだよ〜」

かれん 「 だけどみのりが気にかけるって何だか珍しいね」

美乃里 「うーん、気になるとか好意があるとかでは全く無いんだけどね」

かれん 「 気になっちゃうんだ?ニヤつくかれん」

美乃里 「 だからそんな変な意味じゃないってば〜」

かれん 「みのりは悪い男に捕まんないでよ〜」

美乃里 「はい、はい」

(雅紀くんは私と少し似てる気がして

違和感を感じたのは私の思い過ごしかな…)


。。。