5.⑥

父親 「俺はな、逮捕されるんだろ?

それなら死んだ方がマシだ」

智貴 「近藤さん、そんな訳ないじゃないですか」


智貴は祐介に合図を送る

祐介は母親を部屋から出そうと試みるも


父親 「おい、なるみをこの部屋から出したら

俺はここで死ぬぞ

お前、守をここへ呼べ」

智貴 「まもるくんは病院で治療中です」

父親 「いいから早く呼べ」


智貴は電話をする

智貴 「まもるくんの状態はどうだ?」

警察 「安定していて意識もある」

智貴 「まもるくんを1度自宅に戻せるか?」

警察 「何があった?」

智貴 「父親からの要求だ」

警察 「分かった、段取りを組んで折り返す

人質とって立てこもりって事で間違いないな?」

智貴 「そうだ」

父親から要求とゆう事は何かがあると察した警察はすぐさま段取りを組むよう答えた


父親 「あと何分で守はここへ来るんだ」

智貴 「今、病院で治療中ですのでまだ時間が掛かります」

父親 「なるみをこっちへよこせ」

智貴 「それは出来ません

なるみさんも早く手当しなければいけない状況です」

父親 「渡さないなら今ここで死ぬぞ」

父親は首に包丁を突き刺し、血が滲む

智貴 「分かりました。

私がそちらに行くのはどうでしょうか?

なるみさんは怪我もしています。」

父親 「そのジャケットを脱げ」

智貴はジャケットを脱ぐ

父親 「ズボンのポケットを出せ」

智貴はズボンのポケットを出す

父親 「おい、そこの警察その男の手をロープで結べ」

智貴は祐介に手を差し伸べる

祐介はロープで手を結ぶ

父親 「携帯を持ってこっちへ来い」

智貴は携帯を持ち、父親の方へ向かう

父親は椅子を蹴ると

父親 「携帯を机に置いてそこに座れ」

智貴は言われた通りに動く

椅子に座ると同時に携帯が鳴る


父親は携帯をとり電話に出る

父親 「まもるを早く連れて来い」

警察 「分かりました、今から病院を出ます」

父親 「人質はこの電話の持ち主だ

変な事したら直ぐにこいつを刺し殺すからな

守だけ家に入れろ誰も着いてくるな」

要求だけ伝えると父親は電話を切る


父親 「クソッ」


父親はイライラして殺気立っている

父親 「俺のやり方に口出しやがって

お前ら警察ごときに俺の何がわかる

毎日毎日 病人の声に耳を傾けて寝る暇惜しんで命救ってんだよ俺は

家に帰ってれば、のほほーんと暮らしやがって

俺のために動いて、俺が言ったことを守るのが

お前の務めだろうが


なぁ、なるみ」


母親 「ごめんなさいごめんなさい許してください」

父親 「いいか、病院はな、俺が居なきゃ成り立たない

俺が作り上げてきたんだ

それなのにお前のせいで病院も家族も…」


「ドンッ」

父親は椅子を蹴り倒す


「コツコツコツ」

包丁をテーブルに叩く音が響く


父親「守はまだか、おい そこのやつ、電話しろ」

父親は祐介に指示をする


祐介 「分かった」


祐介は電話を掛ける

祐介 「守くんは?あぁ、分かった

もう目の前にいる

ただ10分だけと約束できますか?

まだ体調が戻っていない状態です」

父親 「あぁ、分かったよ」


智貴 「近藤さん、あなたが死んでも、

私を殺しても何の得もありません

喜ぶ人は誰1人といません。

近藤さん、あなたは必ず大丈夫なので守くんと話したら警察署へ行きましょう」

父親 「あぁ」

父親は守が来たと分かると少し冷静さを取り戻した

「ガチャ」玄関のドアの音がした

「ガチャ…」

恐る恐るリビングのドアが開く


母親 「守…」

守 「お母さん…」

母親 「まもる、守、ほんと、本当にごめんね

私のせいで」

母親は守の顔と紐の後が残る首を撫でる


。。。