3.①


はぁっ、はぁはぁはぁ…

美乃里の辛そうな息遣いはとまらない

男の笑い声がする

血だらけの手が見える

誰か、誰かお願い、助けて だれ……


かれん 「美乃里、みーのーり!!」

美乃里を呼ぶのは同期で友達、同級生のかれんだ

美乃里 「うーん」

かれん 「ねぇ!みのり、あんた凄い汗!

まあーたうたた寝してると先輩に怒られるよ

そんな汗かいて、どんな夢見てたのよ」

美乃里 「ごめん、かれん…ありがと…今何時?」

かれん 「10時、15分くらい寝てたんじゃない?」

美乃里 「ふぁ〜あ、寝た寝た〜」

身体を伸ばす美乃里の表情は言葉とは反対にスッキリしない様子だ

かれん 「ねーねー!今日の夜あれだよ?覚えてる?」

美乃里 「なに?」

かれん 「ご」

美乃里 「ご?」

かれん 「もーう!何でいつも忘れるのよ!」

美乃里 「ごめん、ごめん で、なんだっけ?」

かれん 「お食事会と言う名の合コンでしょ」


かれんは周りをキョロキョロしながらヒソヒソと耳打ちしてくるがそんな隠すことでもない

恋多き女、松崎かれんは見るからに男ウケの良い顔だ。

小顔にクリクリな目とフワフワな髪の毛

低身長で守りたくなるような可愛らしいを全て持っている。

そんな子なのに合コンが大好きだ

だから隠すことでもないけど…

合コンが好きでも男が好きな訳ではないから

これまた面白い

かれんは合コン好きの男の研究家だ

合コンをして男に評価を付けるのが大好き

かれんの可愛さに釘付けになるバカ男達を

とことんバカにして娯楽から突き落とすのが大好きな

怖〜い性悪女だ


かれん 「なに?」

美乃里 「え?そんなに顔に出てた?」

かれん 「美乃里も性悪でしょ」

美乃里 「ハハッ」


趣旨は違えど根は似てる

なんだかんだかれんといる時間は好きだ

私の唯一、気の許せる友人の1人


かれん 「今日の男性陣はどんな人でしょーか?

みのりの彼氏候補になりそうな人は〜」

かれんはテンション高めのノリノリだ

美乃里 「もう!私は今そんな気ないから

かれんこそいい加減、本命でも見つけたら〜?」

そんな他愛もない話で盛り上がっていた


上司 「荒川さーん、荒川さーん」

美乃里 「はあーい」

上司 「あ、いたいた、警察の方が来てるわよ」

上司が美乃里に耳打ちをする

美乃里 「え?警察?」

ドアの方に目をやると警察の方が一礼する

美乃里は席を立ち、警察官の方へ歩いていく