2.③



里美 「なに?」

弘樹 「あ、あの昨日の事なんだけど

あれから色々考えてて、

本当にさとみを裏切るような事してごめんなさい

俺はこれからもさとみと一緒にいたいです。」

と頭を下げてくる

(色々考えて?いやいやいや、普通に寝てたし

考えたって寝る前か朝起きてちょっと考えたくらいでしょ)

この人と話してるとイライラしかしてこない

里美 「はぁ…寝不足のせいかな〜」


さとみは呟きながら冷蔵庫へ向かい水を飲む


里美 「とりあえず昨日の人に連絡して今から来てもらえる?」


今にも殺してしまいたい衝動を抑えて

なるべく柔らかい物腰でお願いする


弘樹「分かった!い 、今から連絡してみる」


日をまたいでも私のこいつを殺してやりたいと言う

気持ちは少しも変わらなかった。

女をここに呼び、とりあえずひろくんから殺して

その後に女だなぁ…

なんてことをぼんやりした頭でぼんやりと考える。

15分くらいどちらも口を開かず時間が経つ

もうすぐで6時か…

「ピコン」携帯が鳴る


弘樹 「あの み、昨日の女の人なんだけど7時くらいに来れるって…」

里美 「分かった」

返事だけして私は脱衣場に向かいお風呂に入る

(笑える

今絶対あの女の名前言いかけたよね?

どうせ、みかとかみおとかそこら辺の名前でしょ

そしてさっきからどもりすぎ

なにあいつ本当気持ち悪い。絶対2人とも殺してやる)


さとみの中には憎悪しかなかった。

時刻はAM 7:05

「ピンポーン」

里美 「鍵空いてるのでどーぞー」

女はなんの悪びれもなく、自分の自宅のように

リビングへ入ってきた

女 「何の用ですか?夫婦の揉め事に巻き込まないでくださいよ、私も仕事があるので朝からこんなとこ呼ばれて本当に迷惑なんですけど」

里美 「お時間取らせませんので少し座ってお話し聞かせてください。」

今にも襲い掛かりたい気持ちを抑えてお茶をだす。


里美 「あの、お名前伺ってもいいですか?」

女 「みか」

(おお、ドンピシャ!さっきあの男が言いかけた名前)

里美 「どこでお知り合いになられたんですか?」

みか 「マッチングアプリ」

里美 「この家に来たのは今で何回目ですか?」

みか 「3回」

里美 「私の存在って最初からご存知でしたか?」

みか 「はぁ…

めんどくさいんだけど。何なのよ

この尋問みたいなの…

全部あんたの旦那に聞きなよ。

何で私にわざわざきくわけ?」


プッチーン

里美 「はぁ〜?

なんでお前がごちゃごちゃ言ってんの?

悪いのお前ら2人じゃないの?」

ずっと黙っていたクソ男も、

偉そうにふんぞり返っていた女も

固まってこっちを見ていた

私が何にも言わなそうな

弱々しい女に見えたのだろうか。


付け上がって本当にバカ2人

謝れば許されると思ってるバカ男と

私は悪くないわよと高嶺のバカ女


里美 「声を荒らげてしまいすみません

そうですよね、尋問みたいに聞いてしまいすみません

下までお送りしますね、

お仕事前にすみませんでした。」


私は準備していた包丁の入ったバックを取り

里美 「ひろくん、ついでに下のコンビニでコーヒーでも買いに行こ」

と誘い、私は玄関へ向かう

その後ろを女が、そしてひろくんの順で家から出る

マンションの下に着くとコンビニが近くにある


里美 「わざわざ朝からすみません、あの、コーヒーかお茶どっちがいいですか?来て頂いたお礼に買ってきます」

みか 「じゃ、コーヒーで」

さっきより物腰が柔らかくなってるみか

さとみの反応を伺っている


里美 「ひろくんのも買ってくるね!待ってて〜」

さとみは1人コンビニへ入って行く


里美 「ふぅ〜」


深く息を吐く

私は今から人を殺す、通勤ラッシュで人も多いけど人に見られて死ぬ、この2人への罰には相応しい

もっと謝罪の誠意を見せてくれたら私の気持ちも変わってたかもしれないのに…

不倫しといてあの女の態度、ほんと腹ただしい

コンビニを出て、まず女から刺し殺して…

その後にあのクソ男だな

そんな事を考えながらコーヒーを3つ持ち

レジに並ぶ…

きっとこのコーヒーを飲む人は1人もいないのに

人を殺すというのに私は至って冷静だ

どん底だし何しても怖くないって感じか…

このままあの男と生きていく方が地獄だ

袋に入った缶コーヒーを腕にぶら下げて肩に掛けたカバンの中に手を入れる

スタスタとまずは女の方へ足を進める


里美 「殺してやる…」

里美は小さな声で呟く

包丁を手に持ち、駆け足になる


「ピコン」

ぶら下がる携帯からパソコン転送メールの音がした

(ああ、相談したみのりさんが返信くれたのかなぁ)

そんな事を思ったけれど、もうどうでもいい

私の的は変わらず、足は女の方へ向かう

女を刺す瞬間、声と衝撃がした


弘樹 「里美ー!」


「ドンッ」