「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」(追記あり) | 映画とネコと、私の好きなもの。

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」(追記あり)

 

評判高いこの映画。

 

近くの映画館で、

何と1日1回しかかからない。

 

さては、長尺で重い作品だからヒットは見込めないと踏んだか?

 

早く見に行かないと、夜遅い回しかなくなるかも、

と思って、

昨日、早速見に行きました〜

 

そうしたら、結構、人が入っていて、

ほっと安堵したのですが。。。

 

 

この映画、

スコセッシとレオの6作目のコラボ。

でもって、スコセッシとデニーロは

「アイリッシュマン」以来、10回目のタッグ!

 

さらに、レオとデニーロは

「ボーイズライフ」以来、30年ぶりにして2回目の共演!

(え、たった2回目?って感じ。どこかで共演していなかったけ?って思うが)

(追記の追記:「The Audition」というスコセッシ監督のショートフィルムで共演。私も見てたのに忘れてた〜)

 

 

 

ま、そういう映画の輪郭的話題もさることながら、

 

この映画は、

ネイティブアメリカンのオセージ族の大虐殺事件という

歴史の影に埋もれた実話を描いた3時間26分の長尺映画

 

というところも、大きな話題。

 

まさにスコセッシの覚悟の本気が見てとれるのだが、

 

 

実際に見てみると、

206分という長さはさほど気にならない、

ず〜っと一貫して緊張感が途切れることなく展開していく。

 

 

 

以下、かなりネタバレもありますゆえ、ご注意ください。

 

 

 

 

 

レオが演じるのは、

第一次世界大戦で戦って帰還した元兵士アーネスト。

 

叔父ビル・ヘイルを頼ってオクラホマにやってきた男で、

これが、また、

南部のレッドネックというイメージの男で、

見かけも中身も、知性教養などまるでなし。

あまり頭もよくない。

ま、それだからこそ、叔父は利用し甲斐があると踏んだのだろうが。

 

 

そういう男になりきったレオは、

体重も増やして、特殊メイクもほどこしているのか、

オーラもカリスマも完全封印して、熱演しているところ、やはり只者ではない!

 

 

そんな彼がふとしたことで知り合ったオセージ族の女性モリー。

自然に愛し合い、結婚するんだけど、

いつのまにか、叔父の企みにひきづり込まれていって、

恐ろしい犯罪に手を染めることに。

白人たちは、オセージ族が持つ石油の利権ほしさに、彼らを壊滅しようと画策。

現にモリーの家族はどんどん殺され、

モリー自身も、糖尿病で病状が悪化。

 

このモリーを演じるビリー・グラッドストーンが素晴らしい!

彼女のカリスマ性には、

さすがのレオやデニーロも負けちゃってるかも!

今まで全く知られてない女優だった彼女が、

映画界の二大名優を凌駕してるって、これ、すごすぎる!ガーン

 

 

ここは、忘れられない名場面。

雨の音を聞き、窓を閉めようとするアーネストに、そのままでと言うモリー。

そして、黙って雨の音を聴き続ける。

スピリチュアルなものを敬うネイティブアメリカンらしい一面を浮き彫りにしていて、

思わずこちらも敬虔な気持ちになる。

 

これは、映画のテーマを象徴する特別なシーンだったことが、

あとでよくわかる。

エンディングクレジットの最後の方で、

また雨の音が繰り返されるからだ。

クレジットが出た途端に帰ってしまう人がいっぱいいたけど、

ああ、これを聴かずして帰るなんてもったいない。

 

 

ストーリーは、叔父の陰謀がどんどんエスカレートして、

しまいに、FBIも動き出す事態となって、

この恐ろしい事件が暴かれていく。

 

地方の名士で、原住民たちに理解が厚く、

彼らとは素晴らしい関係を築いています〜!

的なアピールを欠かさないこの男、

↓デニーロの独壇場よね〜!

 

 

でも、その化けの皮は、次第に剥がれていく、というわけで。。。

 

FBIの捜査官がジェシー・プレモンズ。

 

私には、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」の記憶しかないが。

 

 

余談ですが、

この彼も、映画でオーラ消すのの達人ですかね!

(オフの彼の方がイケてるんで爆  笑

(愛妻キルスティン・ダンストと)

 

 

 

FBI が入って、ビルもアーネストも逮捕されるが、

 

アーネストはモリーを愛しているにもかかわらず、

彼女に毒入りインシュリンを注射していた、という罪があり、

モリー、ほとんど死にかけたところをFBIに発見されて病院に運ばれ、

病状は奇跡的に回復。

その彼女が、アーネストに対して、あなたは何を注射したのか?

と訊く場面、

モリーの、ていうか、

リリーという女優の堂々たる存在感に圧倒された。

こんなにも知性と頭のよさを備えた女性が、

なんでアーネストというオバカな男を愛したのか、

映画の初めの方で、

「あまり頭はよくないけど、彼、ハンサムでしょ」

という場面があって、

まー、あれでも、田舎では、ハンサムですてきに見えるのかもね。

 

その頭のよくないアーネスト=レオだけど、

モリーを愛していながら殺害を試みたり、

叔父側の立場と妻側の立場を、両方を理解しながらも、

FBIの取引では自分に有利になるように考えたり、

とにかく、その感情の振れ幅がハンパないが、

それを地味〜に演じてみせるレオの演技力といったら!

今回、私は、レオが演者として、また1つ上の階段を上った、

と深く感じ入りましたよ〜おねがい

 

 

 

でもってーー

 

この映画は、最終盤になって、

 

突然、トーンが変わります!

 

これは、完全にネタバレすぎるので、

ここから先は言えませんけどーー

 

言ってみれば、

今までのスコセッシらしさも交えながらのライトな切り口。

って思ったら、

うわ、最後にこう来たか!

というね、

最後の最後で、ちょっと目頭が熱くなってくる。

スコセッシのファンなら、

ココは特別の意味を持って迫ってくるに違いない!

 

 

 

ということでーー

 

全編に重いトーンが流れて、ジョークのかけらもなく、

笑えるシーンなど皆無のこの作品、

ビハインドっぽい写真は、ちょっと嬉しい。

 

 

 

 

こっちはカンヌ映画祭でのスリーショット!

(リリーのオーラに、やっぱりレオ負けてるかも爆  笑笑い泣き

(写真、いろいろとお借りしました。ありがとうございます)

 

 

来年のオスカーに間違いなく急接近している作品だと思うので、

その動向も気になります!

 

気が早いけど、

来年のオスカー、

リドリー・スコットの「ナポレオン」とか

クリストファー・ノーランの「オッペンハイマー」

それと、

ブラッドリー・クーパーの「マエストロ」は

予告編に限っては素晴らしくて、どうしても期待しちゃう。

 

どんな作品、どんな役者たちが候補になるか、

これから期待したいですね〜!

 

 

 

追記)

そういえば書き忘れてた、

この映画、なんとパンフレットがありませんよ〜。

がっかり!ショボーンショボーンショボーン

ネットフリックス作品はパンフなし、

ディズニーも作品によって?なし?

(「ノマドランド」、パンフなくてショックだった〜!)

で、この映画はアップルが製作しているからなのか。東和が配給なのにね。

パンフでオセージ族の歴史、アメリカ暗部の歴史など、

いろんな解説を読んで勉強しようと思ってて、

はりきってパンフ売り場に行ったら、

「作ってないんです〜」だと〜!ガーン

 

なんか、最近、パンフなしの傾向が増えてきている感じしませんか。

需要がないの?簡単な解説をウェブで読めばいいのか。

 

我々は、やっぱり「紙」で読むことにこだわりたいし、

いろいろなことを「詳しく」知りたいんでね。。

なんだか、寂しいわ〜。