アート・ドキュメンタリー「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」 | 映画とネコと、私の好きなもの。

アート・ドキュメンタリー「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」

ムービープラスでオンエアしていた、

「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」

 

お恥ずかしいことに、

全く認知してなかったドキュメンタリー。

 

興味が湧いて、録画しておいた。

 

見始めたら、もう画面に釘付け!!!

 

なんと、

ダ・ヴィンチ最後の作品といわれる

「サルバトール・ムンディ」という絵をめぐっての、

もう、驚くばかりの実話なんです!!!!

 

 

以下、いろいろとネタバレしてますので、ご注意!

 

 

 

 

ニューヨークの美術商が埋もれた作品を探しているときに、

う、これは?と第六感が働いて

安く購入した絵が、

美術商からキュレーター、専門家、

研究者、ジャーナリスト、

果てはロシアの新興財閥オルガルヒまで巻き込んで、

詐欺行為も堂々と行われ、

その度に、価格が釣り上がる。

 

その間、ず〜っと議論されているのは、

真作なのか、贋作なのか、ということで。

しかし、結論も出されず、

ある専門家は贋作だと言い、

ある専門家は真作だと主張し、、、

といった感じで、果てしなく。。。

 

しかし、

「ダ・ヴィンチ最後の作品」

という輝かしいまでに魅力的なフレーズを示されたら、

「本物」であってほしい、

「本物」に違いない!

そういう気持ちになるのも、わからないわけではない。

 

イギリスのナショナルギャラリーは、

あっさりと、レオナルドの真作、

として公開しちゃうのだ。

 

 

だが、その後でロシアの財閥を巻き込んだ詐欺まがいの行為があり、、

長らくこの絵は忘れられ、

売れずに倉庫に置かれていたのだが、

ある日突然、その財閥が売りたいと意思表示。

そして、買いたいという人間が出現。

それが、

チョー金満国サウジの王子、

というのも、映画みたいな筋書き!

 

 

最終的にクリスティーズのオークションにかけられた絵は、

史上最高額の4億5千万ドルで、落札される!

(ついでに、このクリスティーズの宣伝戦略が凄くて、

なんともう1人のレオナルド、ディカプリオまで利用しちゃうのだ!)

 

一体、サウジの王子は、なぜ、

そんな高値をポンと出して買ったのか。

そこには、国家の将来を見据えた膨大な計画があるらしくーー

 

 

というわけでーー

レオナルド、という

あまりにも破格すぎる天才アーチストの存在と、

その絵のまわりに群がる

物欲と金欲と名誉欲にまみれた人間たちの魑魅魍魎の闘いが、

複雑に絡み合い、

もう絡みすぎてのどろどろとした人間模様の果てしなさ、というかね、

それがとにかく面白い。

こんなにドキュメンタリーで熱くなったのって、

アダム・ランバートとクイーンのドキュメンタリー以来よ〜!

 

 

大体ね、

この作品、まずいきなり、

クリスティーズでこの絵が4億5千万ドルで落札されるところから始まるわけなんだが、

そのときに出てくるこの絵

これ見て、

な〜んか、胡散臭い〜

な〜んか、偽物くさい〜

て、

こんな素人でも、感じてしまう、

どこか、すっきりしないところがある。

 

この絵画は最終的に、

ルーブル美術館のダ・ヴィンチ展で展示されるか否か、

というところまで行くものの、

さすが、フランス、というか、さすがルーブル。

サウジ代表団がフランスを訪れ、マルコス(元)大統領と面会しても

ルーブルはそういうこと、一切「忖度」せず、

3ヶ月にわたって絵を精査し、

その結果、

レオナルドが「貢献した」作品と結論づけて、

結局、この絵画は展示されないことに。

「ルーブル」という伝統と信頼の歴史、

それを守る矜持を示したわけで、やはり立派。

(ナショナルギャラリーは、勇み足すぎたよね)

 

ルーブルが疑問を呈したように、

やはり、この絵画には疑問符がついて回っていた。

最終的に、

この絵は、ダヴィンチ本人ではなく、

ダヴィンチの工房で作成された、

要は、ダヴィンチが「貢献した」ことは間違いない作品、

と結論づけられる。

つまり、弟子たちが描いた、ということ。

 

しかし、

そう「結論」が出たはずなんだけど、、

 

このドキュメンタリーでは、

最後の方で、長々とよくわからない

意味不明なテロップが延々と流れて、

すっきりとした終わり方にはならない。

 

本物と信じている人たち、

疑問を呈している人たち、

両方に花を持たせる?というかね。

そういう立ち位置に、

いつのまにかなっている、というような。

 

サウジのプリンセスの意味深な発言も出てくるし、ね。

 

それでも、そういう人間たちの思惑とか狡猾さとか、

一枚岩ではない、物事の捉え方、

 

色んな意味で、ほんとに、興味が尽きない。

 

しかも、

最初にこの絵を発見して1000ドルで絵を買い取り、

その後で趙高値で(ロシアの財閥に)売った美術商の本人は、

最後の方にまた登場して、

今でも真作だと信じていると

自信満々に語ってみせるし、ね。

 

もう、ここまで来ると、真作か贋作か、よりも、

その絵に寄せる思い入れの気持ち、

言ってみれば「愛」、

これこそが、その絵の本当の価値を決めるのかもしれない。

 

 

 

はあ、面白い〜

 

人間観察のいい勉強になりました〜!