「工作 黒金星と呼ばれた男」
金曜日に、シネマート新宿まで。
新宿行くのがハードル高くて、
新百合ケ丘でかかるまで(8月末)待とうかと思っていたのだが、
チュ・ジフンの仕事が早々に始まるので、
やっぱり観ておかないと、となりまして。。。
これは期待通り、というか、
いや、期待を遥かに上回る、
本当に
素晴らしい傑作でした!
韓国映画に自国の闇を描かせたら、
「タクシー運転手」しかり、「1987」しかり、
皆、完成度が極めて高い傑作ばかりだけど、
この作品も然り。
というか、今年のベスト1といってもいいぐらい、
ダントツに凄い出来!
ジフンの映画、ということを離れて、
純粋に映画として、本当に圧倒されます!
作り手の覚悟がひしひしと伝わってくる、
見事な作品です!
以下、ネタバレもありますゆえ、ご注意!
ストーリーは1990年代から始まる。
韓国のスパイの中で最も成功したスパイとして知られる
今も生存している人物を主役に、
彼がいかにして北の上層部の信頼を得ていったか、
彼が実際に北に潜入して何を見たか、
その政治の裏面史とともに、
そこに関わった人間たちの姿を緻密に描き、
後半には、驚くべき北と南の利害関係を暴き、
そして、ラストには男の友情を
観客にもろにぶつけてくる。
ファン・ジョンミン=パク・ソギョン 韓国国軍情報司令部少佐
黒金星(ブラックヴィーナス)のコードネームで呼ばれる
本当に、上手い役者だ。
今まで観た映画で、
どれ1つとして同じ顔はなく、
「新しき世界」
「国際市場で逢いましょう」
「ベテラン」
「華麗なるリベンジ」
「コクソン」
「アシュラ」
ドラマ「約束の恋人」
ほかにも何作か観てますけど、
作品ごとに、役に憑依し、
唯一無二の強烈な存在感を発揮する。
本作では、
怜悧なスパイの正体を、お調子者な事業家の仮面で隠す、という役柄で、
二重に生きる男を見事に体現。
秒速で変わる状況に対して、
ポーカーフェイスと、ときに微妙な表情の変化を見せつつ、
感情と神経と心理、すべてに長けた演技は、右に出る者なしの上手さ!
イ・ソンミン=リ・ミョンウン 朝鮮民主主義人民共和国対外経済委員会・所長
やっぱり彼は、
「ミセン」のオ課長のイメージが鮮烈だが、
他にも
「グロリア」
「記憶」
「魔王」
「ブレイン」
(年不順ですが)
といったドラマや
「華麗なるリベンジ」「弁護人」などでも観てきた、大好きな俳優さん!
彼もファン・ジョンミンと同じく、
がらっとイメージを変えてしまう名手だが、
本作では、キレものの北朝鮮重要人物ながら、
眼鏡の奥底に人間味が垣間見えて、
それが、ラストの感動へと繋がっていく。
イ・ソンミンだからこそできた、この役、という感じ!
チョ・ジヌン=チェ・ハクソン 韓国国家安全企画部室長
ファン・ジョンミンにスパイ指令を出す男。
いかにも押し出しの強そうなキャラで、
工作を陰で操る。
こういう役柄だと、彼本来のカリスマがキラキラするね。
もちろん、「シグナル」のような役もいいんだけど、
複雑な役を演じている方がセクシーだし、色気を感じます。
「根の深い木」はカッコよかった。
あまり知られてないが、
「チャンス商会」という映画も
チョ・ジヌンが演じているから裏があるのではと思っていたら、
実は優しい家族思いの男、という意外性もよかった。
そしてーー
チュ・ジフン=チョン・ムテク 朝鮮民主主義人民共和国国家安全保衛部課長
北朝鮮のエリート軍人。黒金星の正体をずっと疑っている人物。
もう、ピッタリなぐらいにハマってたね。
ちょっと軽薄な感じもね、
エリート特有の鼻持ちならない傲慢さを匂わせ、
北朝鮮に入った黒金星に自白剤を射って、
彼にウソの自白テープを聞かせて、フェイントかけたり。
好きにはなれないタイプだが、
だからこそ、ビジュアルの美しさが際立ってて、
上出来なチュ・ジフン様でした〜!
(「神と共に」より、私は数段好き!ダンスまで踊ってくれちゃったし。。。)
とにかく、冒頭からラストまで、
ドラマティックな映画音楽とともに、
緊迫感が全く緩まない。
私もずっとドキドキしながら、
観てましたよ。
中でも、圧巻なのは、ついに黒金星が北に呼ばれていくシークエンス。
ピョンヤンに入った彼が、車の中から見つめる外の威容ぶりが凄い!
そのドカンとどでかい建物ばかりな、
人間味を感じさせない、いかにも北、といった感じのたたずまいを
迫真のカメラワークで、見せていく。
このシーンは、車に乗せられた彼が、
次はどこに連れられていくのか、という不安の中にもいるので、
まさにハンパない緊張感の連続!
監督は、北で実際にロケをしたのかとインタビューされたそうだけど、
もちろん、そんなの不可能。
だもんで、
これはCGなども多用しての結果なんだけど、
このシーンだけでも、また再見したいぐらい、
リアルであると同時に映画的な興奮を堪能できる名場面になっている!
そして、あの金正日が登場するシーンも見逃せない。
まずは、彼の別荘(?)のスケールにも驚かされるが、
いかにもこんな感じだろうなあ、というの、上手く再現してますね。
(これは実際に大金をかけて建造したセットらしい)
ここで主席を待つ全員の緊張が
観客にも痛いぐらいに伝わってくるんだけど、
愛犬を引き連れてやってくる彼、ちょっと滑稽でもあって、
ここも見応えたっぷりなシーンだった。
長くなるので、
後半のあっと驚く「北風工作」については、
映画をご覧いただくとしてーーー
色々あった末に、
奇跡の再会を果たすパクとリ所長
これがねーーー
偽ローレックスと、(多分)偽カルティエの
時計とネクタイピンをそれとなく示しながら、
って、もう切なすぎて、泣ける、泣ける〜〜
これ、やりすぎ、って思うヒトもいるかもしれないが、
いや、これぐらい、熱くていいの!ベタでいいの!
だって、想像を超えた極限下を生き抜いた果ての再会だもの、
これぐらいのこと、するでしょ!?
って、すべて許しちゃう!
それぐらい、泣きの、号泣のラストです。
そして、互いに歩み寄るところで、エンドクレジット。。。。
感動の余韻、止まらず、、、、
といったところで、
涙をふきながら、
エンドクレジットをずっと眺めてました。。。
(全く余計なことですが、あの2人の立ち位置観て、何故か「ウエストサイド物語」の体育館のシーンを思い出したのは、多分私だけでしょうが。。。2人がトニーとマリアみたいな位置にいたのでね><)
ついでに、
我々、60代以上の人間たちにとっては、
ここに登場する金大中は、
彼が東京で拉致された事件を今でも憶えている人が多いと思う。
シネマート新宿の観客は、
オヤジ率ハンパなく、韓流好きなオバサマ(私も)含め、
年齢層はかなり高かったが、
その人たちの多くは、
ここの時代背景をうろ覚えにしろ、
ああ、あのときの、って、思ったはず。
私もかなり忘れてましたけど、
この映画を観て、
改めて、あの当時をネットで調べたりしました。
なお、パンフレットにも、その時代背景についての解説など掲載されてますので、
これは、パンフ購入も、ぜひ、おすすめよ!
オマケ
↓
金正日を演じたのは、キ・ジュボンという役者さん。

韓流ドラマ観ると、よく出てくる方ですよ。
でも、全く面影なし!
キム・ジョンイルに成りきっていて、驚きました〜!





