「君の名前で僕を呼んで」 | 映画とネコと、私の好きなもの。

「君の名前で僕を呼んで」

 

見事な作品でした。

 

以下、ネタバレもありますので、ご容赦。。。

 

 

 

 

1983年、北イタリアのどこか、季節は夏。

 

 

大学教授の父、翻訳家の母と過ごすヴィラで、

心も体ももてあましている17歳のエリオ。

 

ギリシャ彫刻のように美しい若者。

 

そこに父の仕事を手伝うためにやってきた、

アメリカ人、オリヴァー。24歳。

 

彼もまた、完璧な美貌を持つ、

頭脳明晰にして、知性あふれる青年。

 

この映画は、

2人が次第に惹かれ、恋におちる物語。

 

でも、それだけじゃない、

言葉では言い尽くせない、

とてつもなく、贅沢な映画空間と、

いつまでも心に残る感動を

与えてくれる叙情豊かな作品だ。

 

まず、舞台となっている住まい、そのまわりの環境に

引き込まれる。

 

ドラマは、淡々と、ヴィラでの日常を描いていくのだが、

屋敷も広ければ、

それを取り巻く庭、というか、森のような広い自然と

眩しいまでの太陽。

スクリーンを通して、その匂いまでもが伝わってきそうなほど、

そこに暮らす人々の空気が

もう贅沢で、羨ましい。

許されるなら、

ずっと、このまま、そこにいたいと思ってしまうような、映画空間。

 

 

こんな風に、食事はいつも庭で。

オリヴァーが毎朝、口にする半熟卵、美味しそうだったわ。。。

 

 

 

暑いので、エリオもオリヴァーもすぐに上半身裸になる。

下は半ズボン姿。

互いに美しい男たちゆえ、
これだけで、もう官能的な気分になってくるのである。

 

庭には当然、プールもあって、そこで戯れることもしばしば。

 

家の中は、英語、イタリア語、ドイツ語がとびかい、

エリオの父とオリヴァーは、

言葉の語源をめぐって議論をかわし、

計らずも教養の深さを晒したりする。

 

そんな知的な雰囲気も、

2人の想いを盛り上げていく

助走的役割を果たしている。

 

本をいっぱい読んでいるって、

やっぱり無敵なことだなあって、

それが人の魅力を作り上げるのだなって、

改めて思ったりもする。

 

 

 

 

 

 

エリオは女の子と初体験もするけど、

 

ず〜っと心の中にひっかかっているのは、

オリヴァーの存在。

 

自転車で田舎道をサイクリングする2人。

自分だけの秘密の場所といって、

森の奥の湖や池のようなところに、

エリオがオリヴァーを案内するシーンも忘れられない。

 

 

2人が互いの気持に正直になってからは、

直接的なシーンもあるけれど、

それほど激しい描写ではないので、
それもよかった。

 

唯一、桃を使ってコトをなしちゃうエリオのシーン、
あれは、けっこう、(・・;)、、、、になりましたけどね。。。


そして、
オリヴァーが帰った後、
しばらくしてから、

 

エリオの父親が彼に語る
ラスト近くのシーンが、
まさに、この映画の肝!

ここは涙なくして見れません。
そして、
このシーンがあったからこそ、
ポイントがぐ〜んと跳ね上がった。

(これがあるからこそ、いわゆる「夏のヴィラ舞台+少年少女のあまずっぱい初恋もの」と一線を画す!)

 

 

世の中のお父さんが

みんな、こんなにオープンマインドなら、

青少年の問題など起こらないのでは、
と思ってしまう。

 

エリオの両親は、

彼とオリヴァーの気持をおもんぱかって、

2人だけの旅行を薦めちゃうような人たち。

 

 

父がエリオに語ったのは、

 

 

息子にとっては、涙が出るほど嬉しい、

そして、

自分の行動や生き方を誇りに思えるような、

勇気と希望と歓びを与えてくれる、

すばらしい言葉。

 

何と父は、驚くことに、

若い頃に自分も同じような体験の機会があったのに、

それを逃してしまったというようなことも息子に打ち明ける。

 

自分の行動を掛け値なしに信頼し、

それをともに喜んでくれる親が、

一体、世の中にどれだけいるだろう。

 

実際に原作者のアンドレ・アシマンの父親は
そういう進歩的な人間で、
セクシャリティに対しても偏見を持っていなかったという。

エリオのキャラクターや環境なども、
アシマン自身の背景に共通しているので、
ここは多分に自伝的要素が濃く反映されているようだ。

そうしたリアリティが
奥の深い感動を呼び起こして、

エンディングで、
ずっと静かにたたずむエリオの表情とともに、
深い余韻をのこす作品となった。


脚色は、ジェームズ・アイヴォリー。
私は彼の監督作で「日の名残り」が大好きで、
DVDも持っているぐらいだが、
今回、脚色だけの参加で、
見事、アカデミー賞脚色賞を受賞。

アイヴォリーならではの
静謐で、インテリジェントな世界観が、
ここでも見事に生きている。

彼自身もゲイで、
パートナーだったイスマイル・マーチャントと
数々の名作を生み出してきているのは、衆知の事実だ。



さて、役者ですが、

私自身のお目当ては、アーミー・ハマーでした。

今まで、
「ソーシャルネットワーク」(二役!)
「J.エドガー」(レオ扮するエドガーのゲイの相手役!)
しか見てないが、







アメリカの映画界でも屈指の毛並みのよさと、
それが顔に出ているハイクラスな雰囲気、
自分のハンサムぶりを自覚しているであろう
堂々としたたたずまい
等々、
ずっと興味があって、

その彼がゲイの恋人を演じるというので、
これは絶対観に行こうと決めていた。

だが、24歳の大学院生という設定には、
ちょいと疑問がある。
どう見ても、そこまで若くは見えない、
というか、貫禄があるので、
最初、エリオの父親の同僚教授が来たのか、
と思ったほど。

(彼の実年齢は、撮影当時、30歳ぐらい)

 

まあ、そこだけ、ちょっと不満だが、
あとは、
彼の全身を眺めているのは、
非常に気持がよくて、
まあ、どこから見ても完璧なハンサム!って、
ずっと感じてました。。。。


対する、ティモシー・シャラメ。
この作品で、
アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、
授賞式でも、
かなり注目されていた、
今や第二のレオ的大ブレイクだそうな。

私的には、
ちょっとラテンな雰囲気がキツいというか、
濃すぎる感じがさほど、ステキには思えないのだけど、

もちろん、
映画の中では、違和感なく、この役柄に溶け込んでいて、お見事だった。



(このミサンガ、ステキだったな)


ただ、ビックリしたのは、その後で、

パンフレットを買って初めて知ったんだけど、

なんと、彼って「HOMELAND」シーズン2で、
あの副大統領の息子を演じていた子だったのね〜!

ブロディの娘のティナと2人でハラハラの行動に出て、
かなりイライラさせられた子だった。

ええっ、あれが彼だったのか〜

と、あんまり驚いてしまって、
すぐに確認リサーチしたけど、

そうそう、こういう顔の子、出てたよね、
って思い出したわ。。。。(゜д゜;)








これが、2012年のことで、
この映画が、5年後。

いやあ、わからないもんだわ〜

レオのときは、
この子、大物になるって、すぐに思ったけど、
「ホームランド」でティモ君を見たときは、
申し訳ないが、
全く、注目しませんでした〜
逆に好感度ゼロだったですよ。。。(-"-;A


この映画で一気に注目株に躍り出て、
今後、どう成長していくのか、見守っていきたいわね。

ところで、

お父さんを演じたマイケル・スタールバーグについても、ちょっと。

 

この教授役、

ほんとにイイ味を出していたと思う。

 

 

彼を見たのは、
「トランボ」で
エドワード・G・ロビンソンを演じていたとき。

本物と大分イメージ違うと思っていたけど、

「女神の見えざる手」では、
これまたガラリと違うイメージで、
最近、かなり躍進中。

私が見るチャンスを失ったままの
「シェイプ・オブ・ウォーター」
にも出ているのね。

 

どんな役柄もこなしてしまう、
彼の今後に注目したい。


 

ということで、

ゴールデンウィーク初日を
鮮やかに盛り上げてくれた、いい作品でした。