「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 | 映画とネコと、私の好きなもの。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

「ムーンライト」の余韻がず〜っと続いていたワタクシ。

 

あれ以来、映画館に行かなかったけど、

 

こりゃヤバい、と

 

やっぱり、これも観に行かねば、

 

とようやく行ってきましたがーーーー

 

 

 

 

 

ああ、もう、

 

哀しすぎて〜

 

悲しすぎて〜

 

涙が止まらない、

 

どころか、

 

嗚咽。

 

だけじゃなくて、

 

家に帰ってきて、

 

思い出すだけで、涙が止まらない〜

(「ムーンライト」でも同じようなこと書いてますね。ほんと、涙もろくてね〜)

 

以下、一部ネタバレもありますゆえ、ご注意。

 

 

 

「ムーンライト」もそうだったけど、

 

脚本が上手すぎる。

 

監督&脚本は、ケネス・ロナーガン。

「アナライズ・ミー」「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本や

ローラ・リニーとマーク・ラファロが共演した

「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」を監督した。

地味だけど、リアリティあふれる作品、という意味で、
この「マンチェスター〜」と似ているかも。

 

 

ケイシー・アフレック演じるリーという男。

 

最初から、

 

エキセントリックで、寡黙で、無愛想で。

 

何か不幸を抱えている男らしい、

 

というのは、明らかだ。

 

 

 

時折、過去の思い出が挿入されるんだけど、

 

この過去のフラッシュバックが、

 

主人公の心情とリンクされていて、

 

観客は、少しづつ

彼の真実、

彼が抱えている心の傷みを知ることになる。

 


いや、傷み、などという生易しい言葉ではすまされない。

 

あまりにも衝撃的な悲劇。

 

そして、それを引き起こしてしまった張本人であるという、

重い、重い、責任。。。。。。

 

 

観客が、ようやく、

 

彼の悲しすぎる過去を知るシーンは、

 

ほんとに息もできないほど。

 

言葉を失う、凄まじさ。。。。。

 

人は、こういうことが自分の身に起こったら、

一体、その後、生きていけるのだろうか。

と、自分に問いかけてしまう。。。

 

 

残りの人生、そこから立ち直ることなんて、絶対にできない、

 

それがじゅうぶんに納得できる、今の彼のありさま。

 

 

その悲しみを少しでも紛らわすために、

 

逃げるように故郷を離れたのに、

 

慕っていた兄の死で故郷に帰ったら、

 

遺された16歳の甥っ子の後見人に指名されていたことを知る。

 

それは、

 

彼を愛する兄が、

彼の気持を理解した上で、

それが一番望ましいこととして、

考えていたこと。

 

でも、やはり、

彼には、辛すぎて、受け入れがたくて。。。。


それでも、

 

 

甥っ子パトリックと一緒に過ごし、

元妻と偶然会って話をしたり、

 

さまざまな人間たちとのふれ合いを通して、

 

ちょっとだけ、彼の人生が前に向いていけるのかな、というーーー

 

完全に立ち直ることはできないし、

 

悲しみはずっと続いていくのだけど、

 

 

辛い人生を、それでも生きていこうとする。

 

 

 

そういう人間の悲しみとか、あきらめ、

 

ほんとにリアルに描かれていてーー

 

 

ラストシーンは、

パトリックと2人、釣りをしていて終わるんだけど、

 

 

ああ、ようやく、ふつうの日常を

 

ちょっとだけ受け入れられるようになったかーーー

 

という、

ほっとするような、あたたかくなるような、

爽やかな感動だった。

 

 

人間はどんなに辛い経験をしても、

 

やはり生きていくんだ、

という

前向きのメッセージ。

 

素晴らしい映画だった。

 

今年のベスト1かも。

 

 

ケイシー・アフレック。

 

今回初めて、素晴らしい役者だと感動した。

 

世間では、セクハラ疑惑で、ちょっと騒がれていたみたいだけど、

 

いや、この映画の彼は文句なくいい。

 

この作品は、

マット・デイモンとジョン・クラシンスキが最初に企画して、

 

マットが主演、という予定になっていたらしいが、

 

いや、こういう役、

マットじゃできませんって〜

 

彼は、私の中では、

「次世代のトム・ハンクス」ですからね、

 

安定感がありすぎ〜なのよ。

 

こういう、人生最大の不幸を背負っても、

マットならサバイバルできちゃいそうだもん。

 

ケイシーは、

そういう意味では、

ほんと、

 

今まで、イヤだった部分がこの役で生かされて、

 

傷つきやすくて、不器用で、

自分をコントロールできない、

大人になれない男、

 

ていうのに、ピッタリ。

 

でも、今回、改めて見ていて、

彼の声、ベンにそっくりだなと痛感。

 

で、

 

テイト・ドノバンとか、

カイル・チャンドラーとか、

「アルゴ」つながりで、ベンの友達なのかな?

という俳優のセレクトもちょっと面白くて、

 

マシュー・ブロデリックが、

あれだけの役で登場したのも、驚きではあった。。。

(そういえば、彼は「ユーキャン〜」にも出ていた)

 

元妻ランディを演じた

ミシェル・ウイリアムス。

 

 

彼女は、ほとんど、このシーンの演技だけで、

 

アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたが、

 

ここが、まあ、ほんとに泣ける、泣ける。

 

 

 

 

長年会わなかった元夫に、
わだかまったまま別れた彼に、
「ちょっと話しましょう」
と言って、呼び止める。

当然、
「あの」ことに触れないわけにはいかないが、

彼女は、
当時、自分がひどいことを言い過ぎた、
と、彼に詫びを入れる。

そう語るそばから、
涙がほとばしり、
声は嗚咽に変わり、

もう、観ている方も、
一緒にもらい泣き。。。。。

それにしても、
同じ不幸を共有する2人だが、
男は、ず〜っと背負ったままに一歩も前に踏み出せず。
女は、
別の男と結婚して、子供も生まれているというーー

やっぱり、女性の方が生きることにどん欲なのかもしれないな。。


ミシェル、「ブロークバックマウンテン」も圧巻だったが、

この映画の彼女、特別、忘れがたい。

 

 

マンチェスター・バイ・ザ・シーとは、ボストン郊外にある、町の名前。

 

お金持ちたちのリゾート地になってるらしいが、

 

ボートの修理など、ブルーカラーの人々も需要があるということで、

 

この映画の登場人物たちのような、ふつうの人々も住んでいる。

 

映画は、リーの心情を象徴するかのように、

雪に埋もれる寒い冬が舞台だが、

 

リーの心に変化が生まれ、

 

春の訪れとともにエンディングを迎えるという構成もとてもよかった。

 

それにしても、

マサチューセッツって、

ウィスコンシンよりは下に位置するけど、

この大西洋を流れるのは寒流だから、

相当に寒いはず。

 

そんなこの地方特有の空気感も、

映画の中では、

実にリアルに描写されていた。

 


ずっと語り継がれるべき名作、でした。。。