「ハドソン川の奇跡」
素晴らしい映画だった。
クリント・イーストウッドへの尊敬が、
また深まった。
本当に襟を正したくなる、そんな威厳にみちた作品だ。
年のことは言いたくないけど、
イーストウッド、86歳ですよ〜
発表するたびに、遺作になるか、と思わないでもない高齢者。
いや、彼に「高齢者」という表現は失礼だ。
作品を撮り続けるたびに、
どんどん、いい作品が増えていく。
フツーの監督なら、
一生に1本、2本といった秀作を
出すたびに増やしていく。
もう、その偉業の数々はあまりに凄すぎて、言葉が見つからない。
イーストウッドが
「ハドソン川の奇跡」を映画化すると知ったときも、
きっと名作になるだろう、
とは予感したものの、
ここまで、
抑制の効いた、知性あふれる作品に仕上がったとは!
以下、ネタバレしてます〜
ご注意〜!
映画を見ていただければ、わかると思うが、
彼は、通り一遍のストーリーで、
この感動の実話を描かない。
ただ、単なる、
奇跡を起こした英雄談にはしない。
それよりも、
事故の後に、
実際に
サレンバーガー(サリー:この映画の原題でもある)機長と
副操縦士である、ジェフ・スカイルズが
事故調査委員会からの調査を受け、
それによって、
彼らのハドソン川着水は、
正確な判断だったのか、ミスはなかったのか、
厳しく問われる
その状況にスポットを当てて、進行するのだ。
なので、
ドラマは、
もう、あの事故が起こった後から始まる、というわけ。
もう、この導入から、
物語がどう展開していくのか、
わからない。
世間的には英雄になったあまりにも有名すぎる話だけど、
映画は、どう「着水」するのか、
全然、見えてこない点がね、
じつにスリリングで、まばたきもできないぐらい面白いの!
これが、
やっぱり、上手いなあ、と感じるわけですよ。
そこに、
イーストウッドの
無駄を極力排して、
いちばん大事なものだけを描く、
洗練されきった映画センスが発揮されている。
時間をテレコにして始まったドラマ、
では、
どこをハイライトに持ってくるのか、
クライマックスは、
やはり、ハドソン川着水のシークエンス
だと思うが、
そこも、実は2回繰り返される。
(これも、上手い!)
さらに、
ボイスレコーダーに記録された
サリーとジェフの会話が、
ドラマのラストに再び繰り返されて、
その後に、事故調査委の面々が、
それまでの威圧的な態度を改めて、
彼らが成し遂げたことが、
あの極限下で唯一可能な判断であったこと、
ずっと疑われていた
左エンジンの完全停止も明かになったことを
伝える。
そして、
ドラマは、最後にジェフが
いかにもアメリカ人的なジョークを飛ばすシーンで
エンドマークとなる。
これ以上はない見事な着水ぶりで、
観客の感動も最高潮、
だれもが、
カタルシスの快感にうち震える、というわけだ。
エンドクレジットが流れるところで、
実際のサリーが出てきます。
ここも見逃せませんよ〜
ていうか、
昨日、観に行った映画館で、
初めてといっていい経験だったけど、
エンドマークが出ても、
誰も席を立ちませんでしたよ〜
今までの経験で、
こんなこと、ほんとになかったから驚いたわよ。
やっぱり、
これって、映画へのリスペクトなのだろうか。
そんな嬉しい気持にもさせてくれた、
至福の映画体験となったのです。
思えばイーストウッド、
「ローハイド」のときからのリアルタイムおつきあいは、
かれこれ56年以上、ね。o(^▽^)o
これまで、このブログでも何度も書いてますけど、
(→ココとか、ほかにも色々ありますが)
ほんとにほんとに、
私たちが想像する以上に、
偉大な映画作家へと上り詰めたよね。
でも、本人には、そういう必死さとかはなくて、
いつも目の前の仕事を
プロフェッショナルとして仕上げ、
次は、この題材に取り組もう、
と淡々とした姿勢を貫いてきたんでしょうね。
なんて、カッコいい男なんだ!(*゜▽゜ノノ゛☆
パンフレットの中のインタビューで、まだ続ける意欲を見せていて、
次は何を映画にするの、
と、またまた楽しみは広がっていくのである!
付記)
イーストウッドのことばかり書いて、
トム・ハンクスについて言及してませんでしたね(;´▽`A``
いや、もう、当たり前になってるぐらい、
トムは素晴らしいんで、、、、
この映画の主演は、
トム以外に誰ができただろうか、
というぐらい、
最高の適役。
特に、
ラストの公聴会のシーンは、
彼の演技と存在感がスクリーンを完全支配!
観客は彼に感情移入し、彼に釘付けとなろう。
彼の人間味がものを言う場面。
言い換えれば、それだけの器がないとこなせない大役だ。
まさに、
トムが演じたからこその感動の名場面。
今、
「アメリカの良心」を演じて、
カレの右に出るものはいまい。




