キャパの十字架
沢木耕太郎氏がキャパの「崩れ落ちる兵士」の写真を検証した番組が、
2月にNHKでオンエアされたが、
沢木さんは、それをもっとじっくりと読ませる本を書いてたんですね。
それが、「キャパの十字架」である。

沢木作品を読むのは、
「ポーカー・フェース」以来だが、
あれはライトな感覚で楽しむたぐいの読み物だったとすれば、
彼のルポライターとしての醍醐味を満喫したのは、
「凍」以来、と言えるかもしれない。
彼が対象に立ち向かうときの姿勢というのは、凄いものがある。
執拗なまでの粘り強さで、納得がいくまで、対象を追究し、一分の隙も許さない。
最初にそれを感じたのは、
「深夜特急」でのマカオでの賭博の下り。
あの研究熱心さこそ、彼の身上であろう!
今回の対象は、キャパの伝説的傑作と言われる写真「崩れ落ちる兵士」である。

今まで、謎が多いとされてきたこの写真にまつわるミステリーを
解き明かしていくのに、
彼は、実務的な段階を飽きもせずに積んでいく。
場所の特定をするのも、自分で何度も足を運び、
写真に写っている風景を何度も確認し、
草や茎ひとつにもこだわって、結論を導く。
実際に当時のライカとローライフレックスで写真を撮影し、
それで発見したことを記していく。
そんな風に、事実、あるいは限りなく事実に近い推測
(撮影した本人がこの世にいないのだから、完全なる証言は望めない、という意味で)
をジグゾーパズルをはめていくかのごとく、
完成へと導いていく。
この本書のほとんどが、その事実を解明するまでの調査、実験などで占められてはいるのだが、
しかし、彼のルポライターとしての視線はその先にある。
キャパが後半生をどう生きたか、
そこに彼が本当に訴えたかったものがある。
間違った写真によって天才と祭り上げられた一人の男が、
それによって十字架を背負い、生き急ぎ、地雷を踏んで死んで行った、
その逆説的な英雄の人生が、浮き彫りにされていく。
実は、私の興味もそこにあった。
ただ、思ったよりも、そこに費やされた文章量が、前半の写真検証に比べて非常に少ない。
もう少し、その後のキャパの、
十字架を背負った人生を解説してほしかった気もしたが、
これはこれで、1冊の読み物として、十分な完成度であった。
沢木さんの事象の捉え方は、
いつも愛があって、優しさがあって、
他の人がまねできない、血の通ったルポルタージュといった感じがして、
それが私を捉えて離さない。
だから、読み終わっても、
フェイク写真で有名になったキャパ、ではなく、
運命のイタズラで高名を得てしまった男の悲しい宿命に思いを馳せてしまう。
沢木ファンならずとも、ぜひ、読んでいただきたい本ですよ!
余談だけど、
これも、先日の「55歳からのハローライフ」と同じく、
ちゃんと有隣堂で買いましたよ!
2月にNHKでオンエアされたが、
沢木さんは、それをもっとじっくりと読ませる本を書いてたんですね。
それが、「キャパの十字架」である。

沢木作品を読むのは、
「ポーカー・フェース」以来だが、
あれはライトな感覚で楽しむたぐいの読み物だったとすれば、
彼のルポライターとしての醍醐味を満喫したのは、
「凍」以来、と言えるかもしれない。
彼が対象に立ち向かうときの姿勢というのは、凄いものがある。
執拗なまでの粘り強さで、納得がいくまで、対象を追究し、一分の隙も許さない。
最初にそれを感じたのは、
「深夜特急」でのマカオでの賭博の下り。
あの研究熱心さこそ、彼の身上であろう!
今回の対象は、キャパの伝説的傑作と言われる写真「崩れ落ちる兵士」である。

今まで、謎が多いとされてきたこの写真にまつわるミステリーを
解き明かしていくのに、
彼は、実務的な段階を飽きもせずに積んでいく。
場所の特定をするのも、自分で何度も足を運び、
写真に写っている風景を何度も確認し、
草や茎ひとつにもこだわって、結論を導く。
実際に当時のライカとローライフレックスで写真を撮影し、
それで発見したことを記していく。
そんな風に、事実、あるいは限りなく事実に近い推測
(撮影した本人がこの世にいないのだから、完全なる証言は望めない、という意味で)
をジグゾーパズルをはめていくかのごとく、
完成へと導いていく。
この本書のほとんどが、その事実を解明するまでの調査、実験などで占められてはいるのだが、
しかし、彼のルポライターとしての視線はその先にある。
キャパが後半生をどう生きたか、
そこに彼が本当に訴えたかったものがある。
間違った写真によって天才と祭り上げられた一人の男が、
それによって十字架を背負い、生き急ぎ、地雷を踏んで死んで行った、
その逆説的な英雄の人生が、浮き彫りにされていく。
実は、私の興味もそこにあった。
ただ、思ったよりも、そこに費やされた文章量が、前半の写真検証に比べて非常に少ない。
もう少し、その後のキャパの、
十字架を背負った人生を解説してほしかった気もしたが、
これはこれで、1冊の読み物として、十分な完成度であった。
沢木さんの事象の捉え方は、
いつも愛があって、優しさがあって、
他の人がまねできない、血の通ったルポルタージュといった感じがして、
それが私を捉えて離さない。
だから、読み終わっても、
フェイク写真で有名になったキャパ、ではなく、
運命のイタズラで高名を得てしまった男の悲しい宿命に思いを馳せてしまう。
沢木ファンならずとも、ぜひ、読んでいただきたい本ですよ!
余談だけど、
これも、先日の「55歳からのハローライフ」と同じく、
ちゃんと有隣堂で買いましたよ!