55歳からのハローライフ | 映画とネコと、私の好きなもの。

55歳からのハローライフ

かつてはかなりな読書家と自負していたワタクシだが、

最近は、老眼が進んで、夜は全く読めないということもあって、

行き帰りの電車の中でしか、読書ができない。

それも途中から眠くなっちゃうしね。。。。。

こういうのが、年をとるってことなのか、、、、
と、痛く感じるわけであるが。。。。

ま、そんなこともあって、
本を、正規の本屋さんで買うということも滅多になくなってしまった。
たいてい、ブックオフかアマゾン(割引か、中古)を利用している。

そんな私が、ほんとに久しぶりに、ふつうの書店にて購入したのが、
村上龍の「55歳からのハローライフ」です。

$映画とネコと、私の好きなもの。


それぐらい、一刻も早く読みたかったのと、
やはり、大好きな作家ですからね、
きちんとした本屋さんで買って、
彼への敬意を示したかったというわけでもあり。(*゚ー゚)ゞ

というわけで、
リュウさんが住むご近所、タマプラーザの有隣堂にて購入!

読後の感想は、
一言で言えば、
やっぱり、村上龍は素晴らしい!
しかし、今回、さらに上手さが進化したというか、
人間を見る洞察力がさらに深く、そして柔らかさも身につけたような。
もっと上のレベルに上がったような気がします。


今回は、特に、「55歳からの」と謳っているように、
私たち世代にスポットを当てて、5つの作品をまとめている。

「結婚相談所」
ヒロインは、熟年離婚した女性。
夫から離れた開放感を味わいつつも、
次第に再婚を考える中で、現実の難しさに直面していく。

「空を飛ぶ夢をもう1度」
再就職で挫折し、工事現場で働く男が、
かつての同級生に出会う。その同級生は、ホームレスだった、、、、
というところから、意外な展開を見せる物語。

「キャンピングカー」
定年後は、キャンピングカーを操って日本中を妻と旅したいと夢を描いていた男。
でも、妻はまるで違う思いを抱いていたことを知って、、、、。
やがて、再就職を考えるが、そこでプライドをズタズタにされるような挫折を味わい、
次第に心身に不調をきたしていく…。

「ペットロス」
夫と上手くいかず、孤独を抱える中年女性が、犬を飼い始めて、新たな人生のチャプターが開かれるが、ペットの死を経験する中で、夫との関係が微妙に変化していく…。

「トラベルヘルパー」
長距離トラックの運転手だった男が60歳を過ぎて職を失い、日々の生活に不安を抱えながらも、読書だけを趣味にして生きている。ある日、古本屋で、妙齢の女性と出会い、だんだんと心ときめいていくが…。


どれも、非常にリアル。
シチュエーションも、登場人物の心の動きも、きめ細かに描写され、
嘘臭さ、というものがまるでない。

女性が主人公の作品では、
彼女たちの心情、人生の捉え方など、
もう、自分も同じように経験したことが多いし、

男性が主人公の作品でも、彼と妻との関係など、
も、ほんと、よくわかるわ、というシチュエーションが
実にリアリティたっぷりに描かれている。

それは、例えば、
マンションや団地の隣室に住むご夫婦であってもおかしくない、というか、
描かれるひとたちが等身大であること。

なんか、人ごとのような気がしない。
とても身近に感じる。


読み終わった途端、嗚咽しそうになって、そんな自分に驚きました。
それは、やはり、
もう若くはない、もう人生の終点に向かって生きている、
という現実は認めつつ、
でも、希望を失わず、ちゃんと前を向いて生きていこう、
そして、人生の新たな目標は、その気になれば見つけることができる
そういう力強いメッセージを感じ取れたからなのです。

そう、人間は、どんな状況にあっても、
希望を持って生きていける動物なのだ、
ということを今更にして教えてくれた作品です。

私たちと一緒に年をとってきた村上龍。
熟成して、一回り大きな作家になって、
こんなにいい、感動的な作品を書き上げてくれました!


50歳を過ぎている方、とくに必読ですよ!