思い出の勘三郎 | 映画とネコと、私の好きなもの。

思い出の勘三郎

録画しておいた金曜のフジテレビ「さようなら勘三郎」を、昨日見た。

ほんとに涙、涙、なんだけど、なんかもう、怒りすら沸いてきてね。

なんで、こんなことが起きるんだろうって。。。


あの92歳、最高齢の小山三さん、もう号泣が止まらずよ。
まさか、自分より先に若旦那が逝っちゃうなんて、想像だにしない。
というか、そんなシナリオ、映画でだって許されないでしょ。

でも、みなさん、ちゃんと役者ですね、舞台はしっかりと務め上げるのよ。
それがまた悲しい、というか、骨の髄まで役者で生きることの切なさ、それも感じたり。。。。。


私の中の勘三郎は、それはそれは濃いものがある。



たくさんの舞台を見て、幸せをいっぱいもらいました。。。。


娘たち2人を初めて納涼歌舞伎に連れていったときは、

富樫を演じた「勧進帳」に感動し、
その後の演目「人間万事廻り燈籠」の二役があまりにステキで!

小心なお調子者と、さっそうとした半七役で、
その変わり身の見事さと、可愛らしさと、面白さと、

とにかく勘三郎(当時は勘九郎)の魅力全開!

娘たちもこれでいっぺんに彼が好きになり、
そのとき「お浜」を演じた福助さんのコメディエンヌぶりにもぞっこんとなった。

その後、折にふれては見に行った、勘三郎の舞台。。。。。

平成中村座には二回。

「文七元結」には泣いた。
文七役は当時の勘太郎でしたね。

「法界坊」はちょうどアメリカから帰国していた次女と長女と3人で行った。
あれ、何年前だったか。。。。

クライマックスで舞台後方が開いた途端、花吹雪が劇場内に舞い上がって、
全身がしびれるほどの感動と興奮を味わった。。。。。
ああいうことができるのは、勘三郎をおいて他にはいない。

コクーン歌舞伎で見た「東海道四谷怪談」
歌舞伎座で見た「東海道四谷怪談」

どちらも凄かった。

その昔、子供のとき、歌右衛門のお岩さんを見て、
あまりに真に迫っていて、
夜寝れなくなるほどで、
以来、「四谷怪談」はコワいとずっと思っていたのね。

だから、勘三郎の「四谷怪談」を見て、
ええっ、こんなに仕掛けがいっぱいの面白いエンターテイメントだったのか、
と目からウロコだった。。。。

お岩の悲しさ、いじらしさ、
それだけでなく、
佐藤与茂七、小仏小平役も演じて、その変わり身の早さにびっくり!
特に戸板返しの名場面は、舌を巻きました。

一人●役の早変わりは、歌舞伎の呼び物の1つだけど、

とにかく凄いのは、「怪談乳房榎」の四役早変わり!

今、舞台の袖に引っ込んだと思ったら、数秒後に花道から出てきたり、
花道の上で一瞬にして別役に変わったり、
もう、マジックの世界よ。

長女と一緒にも見に行ったが、次女は見るチャンスがなかった。
もう、勘三郎で見れないなんて、信じられない。

「野田版 研辰の討たれ」も、2回見た。
DVDも買いました。
何回見ても面白い。

それと、忘れられないのは、勘九郎最後の舞台「今昔桃太郎」の千穐楽に行ったこと。

涙、涙のアンコール、スタンディングオベーション。
作者の渡辺えりさんも舞台に登場して、
勘九郎も涙、涙。
いつまでも鳴り止まない拍手喝采。
歌舞伎を見ている醍醐味を感じた一瞬でもあった。


「俊寛」のラストシーン、あの魂を絞り出すような俊寛の呼び声。
まさに渾身の演技に、見ている方も襟を正す思いだった。

「籠釣瓶花街酔醒」では、玉三郎との競演で、圧巻の名演技を魅せた。

「魚屋宗五郎」で、やめていた酒を飲んで次第に酔っぱらっていくところ、
上手いったらなかった。

「夏祭浪花鑑」の団七九郎兵衛のカッコよさと、義父殺しの場面での凄絶さ。
あんなに説得力をもって演じられるのは、勘三郎以外にいないと思う。

$映画とネコと、私の好きなもの。

他にも、「鏡獅子」、息子たちと踊った「三人連獅子」、「京鹿子娘道成寺」など
舞踊も、みんな美しく、カッコよく、圧倒的なオーラを見せていた。

どれも、私の中では、かけがえのない思い出。
これからも、新しいことにいっぱい挑戦して、
もっともっと輝いていくはずだった。

おじいさんになったら、さらに味わいが増して、
息子たち、孫たちに囲まれて、
人間国宝として、天寿を全うする。
それが勘三郎の、あるべき道だった。

なのに、なのに、神様はあまりにも残酷すぎないか。

思えば、現・海老蔵のおじいさん、海老さまこと、九代目海老蔵も、56歳の若さで惜しまれて急逝した。
勘三郎が亡くなったと聞いたとき、海老さまのこと、思い出しましたよ。
これから円熟期、というときに、全盛期の中での突然の死。

このショックは、多分、今以上にもっと時間が経ってからの方がじわじわと来そうです。。。。