「ブラック・スワン」 | 映画とネコと、私の好きなもの。

「ブラック・スワン」

劇場で見るチャンスを失い、DVDになってからもなかなか借りる機会がなかった「ブラック・スワン」。

昨日の夜、ようやく見ることができた。

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もう、かたときも目が離せない。画面に釘付けとは、まさにこのことか!

思っていた以上にずっと面白くて、凄い映画だったわ!

以下、激しくネタバレです。

ダウンダウン



これを見ている間中、ずっと頭から離れなかったのが、ミヒャエル・ハネケ監督の「ピアニスト」よ。

「ピアニスト」のヒロイン、エリカ(イザベル・ユペール)は、かつてピアノに夢を懸けて生きてきた、「ブラクスワン」のヒロイン、ニナ(ナタリー・ポートマン)もバレエ、命である。

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音楽が2人の共通項、そして、互いに母親の異常な抑圧につぶされて、本来の夢は歪み、心までおかしな方向に向っている。

「ピアニスト」の母親は、中年になったエリカを我が物のように支配し、寝るときも一緒のベッドで寝ている。
エリカが、母からの独裁的な過干渉、過保護の抑圧の中で唯一自分を解き放てる場所といえば、ポルノショップでの覗きという変態行為なのだ!

一方の「ブラック・スワン」のニナも、常に母親の支配下に置かれ、それに反抗することができない。

母はダンサーとして挫折し男にも失敗しているゆえ、その過ちを娘にはさせまいと、ヒステリックなまでに干渉してくる。

も、こんな母親と一緒に住んでたら、だれだって精神おかしくなるであろう。
しかも、母を演じているのが、あのバーバラ・ハーシー(「ライトスタッフ」の凛々しさよ、今いずこ!である)。
お顔を直したのがありありわかるその中年の疲れた容貌も、実に痛々しいのである。

母親の過剰な愛情と過干渉から逃れられずにいる2人のヒロイン。
そういうときに、セクシャルな欲望だけが異常なまでに突出していくというのも、このヒロインたちに共通で、まさにこの2作品は合わせ鏡みたいよね。

変態になることでしか生きられないエリカ。
一方のニナはもっと臆病、真面目すぎるので、いきつくのは、妄想と幻覚の世界という、もう最悪なパターンである。

ということで、見ているときは、いやあ、こういう映画だったのか、まんま、ピアニストだわ、という感じを強くしたが、しかし、そこは、ダーレン・アロノフスキーである、
彼ならではの才気がほとばしり、「ファイトクラブ」か?という要素やら、1つのシークエンスの終わり方が、ふっと途切れて、次の場面に移る、ここは、ちょっと「シックスセンス」的でもあり、そこに何か罠が隠されているのかと思わせるなど、これらの演出も非常にミステリアスな効果を高めていた。

それと、鏡が実に多く使われホラー効果を上げていたが、ラストに来て、そうか、ここに至るわけだったのね、と、その使い方のセンスにも唸ったというか、見事でありました。


最初からこれはホラーだと思って見ていたが、まさしく第一級のホラー映画。

今年見た中でベストに入りました!

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