先月27日の記事。
震災がれき:北九州市受け入れで苦痛と市民ら提訴 (毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20120728k0000m040036000c.html
(要約)
北九州市が宮城県石巻市からの震災がれき受け入れを決めたため、精神的な苦痛を受けたとして、
市民ら142名が北九州市と宮城県を相手に、計1562万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
原告は北九州市民58名のほか、12都道府県から集まった。
広域処理に反対する原告が北九州市と宮城県を提訴。
被災地である宮城県をも訴訟の対象としている為、各所で批判されている一件です。
原告の多くが県外の人である事も批判材料の一つになっている様子。
これもまた「被災地差別」に関わる難しい問題です。
ただ、上の記事がまさにそうなんですが、訴訟の趣旨が正しく伝わってません。
今回の提訴は「精神的苦痛」ではなく「鹿島JV受注分の二重カウント問題」がメインです。
地元の河北新報は31日の記事でこの事にも触れてますが、あくまで浅く。
がれき訴訟・北九州原告団が仙台で会見 村井知事「残念」 (河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120731t71003.htm
しかし原告側の市民団体のHPを見ると、詳しい経緯と趣旨が理解出来ます。
北九州市民検討委員会・広域化調査チームレポート
http://hinanohanasi9494.blogspot.jp/2012_08_01_archive.html
ぜひ一度HPをご覧頂ければと思いますが。
「自分達が精神的な苦痛を受けたから宮城県を訴える」等とは、どこにも書かれていません。
ここにあるのは徹頭徹尾、「鹿島JVの二重カウント問題」への追及です。
二重カウント問題については、次のページでも判りやすくまとめられてます。
【広域処理に回すがれきはない 浮上した宮城県・ゼネコンの癒着疑惑】 (週刊MDS 様)
http://www.mdsweb.jp/doc/1241/1241_02u.html
すごい名前のページでしたが(;^_^A
書かれてる内容は重要です。
つまり今回の問題とは
石巻市のガレキ総量は当初約685.4万トン、全量を最終処分まで鹿島JVが受注。
契約額1923億6000万円。この契約は現在も有効。
しかし5月の総量見直しで、石巻市のガレキは685.4万トン→445.8万トンに減少した。
ブロック内の他2市町を合わせても581万トンにしかならず、当初の総量に足りない。
本来なら、この時点で鹿島との契約見直しが行われて然るべき。
でなければ存在しないガレキの処理費用として、多額の公費が使われてしまう事になる。
鹿島JVは行っていない処理の代金としてこれを受け取る形。
しかし契約見直しは行われず、何故か広域処理必要量として74万トンが計上されている。
いったい北九州市に回すガレキは何処から出てきたのか?
これは一方で鹿島が受注している分を、一方で県外に回す「二重カウント」ではないか?
という疑惑。
ちなみに、7月に再度見直しが行われましたが。
宮城県災害廃棄物処理実行計画(第二次案)
http://www.pref.miyagi.jp/shinsaihaitai/shoriryo_minaoshi/jikkokeikaku2.pdf
岩手県を含めた場合でも、169万トンが現状だそうです。
広域処理分は169万トン (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012080700285
もちろん、これは今の「三年で処理」を目標にしての話です。それでさえこの減少。
目標をもう少し長く取れば、更に広域処理の必要は薄くなります。
あくまで期間だけで見た場合ですが。
少し話が逸れましたが、こういう現状の中で「二重カウント」の問題が浮上して来た訳です。
追及せずに済む問題ではありません。
原告はこの問題があるから、宮城県をも提訴の対象とせざるを得なかったんです。
けして被災地に憎悪を抱いているのではない。
それに訴えたのはあくまで「行政体」としての宮城県。微妙ですがここは大きな違いです。
原告団は記者会見の場で、
「損害賠償請求という形を取っているが、目的は違法行為をはっきりさせる事による世論喚起である」
と言っています。
2012/7/27 北九州震災がれき訴訟 提訴直後の記者会見 (youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=xcPzLRZW8uw
違法行為があるのか無いのか。そこがこの提訴の骨子です。
関係者が「二重カウント」疑惑を晴らす事が出来れば、この話は終わり。
不正の疑いがあるから正当に提訴したという事です。
それがどうして「精神的苦痛で訴えた」なんて話になるんでしょう。
一体どこからそんな話が出て来たのかサッパリ判りません。

