板子一枚下は地獄【被曝隠し】 | テーさんのスミレカフェー

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東電の下請け会社による「被曝隠し」。


線量計に鉛板、東電下請けが指示 原発作業で被曝偽装 (朝日)

http://www.asahi.com/national/update/0721/TKY201207200768.html

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記事によると、鉛カバーを着けたとみられる作業員の1人の外部被曝は、記録上12月の一ヶ月間で10数mSv。東電の記録に照らすと同時期の作業員の上位1%に入るとのこと。


●今回問題となっている偽装工作は、昨年12月の話。


●下請け会社は福島県に本社を置く人材派遣・工事業者「ビルドアップ」

 ビルドアップ社 HP

 http://www.build-up.co.jp/index.html


●工事は、汚染水処理ホースに保温材を巻く作業。(凍結が問題になってた頃ですね)

 
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 発注は東電グループ会社「東京エネシス」を介し、ビルドアップ社が受注。

 50代のビルドアップ社役員が10人の作業員に偽装を指示。

 この指示があった事実を示す、昨年12/1の録音記録を朝日新聞が入手。

 (音声データがデジタル版で公開されてるそうです)


 

東京エネシスは今回の偽装について、HPで以下の文書を公開してます。


東京エネシス社 HP

http://www.qtes.co.jp/index.html

ポケット線量計APDの鉛カバーに関する報道について

http://www.qtes.co.jp/irinfo/pdf/2012-7-21.pdf


「恒常的に不適切な行為が行われた事はないと考えている」と。


また朝日の記事によるとビルド社の和田孝社長は「役員が個人的にやったこと」と述べている。

 


以上が概要。


まあ恒常的に行われてるんですね。建前を聞いてても話が進みません。


朝日の朝刊(紙媒体)では、この役員や作業員の声が色々載ってます。

当事者の声からは、問題の大事な部分が覗いています。


役員:

年間50mSvまでいいというのは、原発(で仕事を)やっている人はみんな知っている。いっぱい浴びちゃうと、年間なんてもたない。3ヶ月・4ヶ月でなくなる。自分で自分の線量守んないと1年間原発で生活していけない。


役員:

線量がなくなったら生活していけねんだ。わかる?50ミリがどんどん目減りしていくわけだから。


偽装を指示した役員の主観。おそらく多くの原発労働者に共通するのだと思います。

線量限度がこういう捉え方になっているんですね。


以前、消費者金融を利用していた僕の知人が言ってたんですが、毎月の「限度額」というものについて

「よっしゃここまで借りれる!!」と思うそうです。

聞いた時は理解不能だったんですが、今は判る気がします。

もちろんその知人は勝手に借金してた訳で、原発労働者とは違いますが。


状況に合わせて感覚の歪みが常態化していく、という事ですね。

この役員の場合、それがある種の職業倫理の域にまでなっている様子。


例えば「これって犯罪に近いと思う」と作業員が反論したのに対して、


役員:

私、無理押しした?自分のために納得してやってもらえるんだったらやってください、ということなの。俺は自分の線量を守りたいからやるよ。


また、この役員は各地の原発を回る現場責任者も兼ねていたため、


役員:

あそこ(福島第一)で全部(線量を)使い果たすわけにはいかねえ。

役員:

鉛で隠さないと、線量なくなったら仕事にならないんだ。



強制はしない。あくまで自由意志だと役員は言う。

しかし、自分一人だけ鉛カバーを着けると、不自然に線量が低く記録されて発覚してしまう恐れ

あったのですね。

当初指示を否定していたこの役員は、その後指示を認めたそうです。


原発作業9人の鉛カバー使用認める 下請け会社役員 (日経)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2100P_R20C12A7000000/


でも社長は「役員が個人的にやったこと」だと。



以下は作業員の声。


ある作業員:

高線量の所は誰もやんねえ、他の業者は。だから、ビルドとかにまわってくるわけ。その代わり高いのよ、お金が。


20代作業員:

やらなかったら仕事ができない。カネがもらえなくなる。


ベテラン作業員:

1日だけ着けた。(現場の)ホースの水を抜いたら線量が下がったので、その後は使わなくなった。

                      ↓

着けたか着けなかったか、わからない(ビルド社役員から電話が入った後の談話)


一部の作業員は鉛カバー装着を拒否。12/2夜に説得工作が行われたが納得しなかったとの事。


役員の言葉。

役員:

原発は向いてないかもしんない。地元に帰って別な仕事やりな。

役員:

線量の高いときはそれなりにいろいろやってきてんの。それがさ、あんたの生き方間違っているって、俺は言われたくねえんだ。



以上です。

最後の役員の一言、とてもよく判ります。

事が露見したら責任否定、というのは筋としてどうかとも思いますが。


でも自分の生き方を否定されたくない、とは誰しも思う事ですよね。

歪んでいるのは状況であり、構造なんです。


歪んだ状況下では、歪んだ適応こそが正常となる。

歪んだ鏡に己を映しても、歪んだ像しか映らない。歪んだ鏡に正常な像を映したいと思えば、

己を歪ませるしかない訳で。


そこを曲げて「歪みなど存在しない」と言ってしまえば、現在の政府の対応が一丁上がり。


もうちょっと、この辺の事を考えてみたいと思います。