長田育恵さんの新作「終の楽園」を文学座のアトリエで観てきた。

尊敬する大好きな「金内喜久夫」が主演している舞台である。


終演後、楽屋でビールをいただき、感想を言いながら、とても盛り上がった。

金内さんはお話しが上手く、昔から金内さんと一緒にいるいつも大笑いになる。

今回は前に文学座で上演した私の作品「月夜の道化師」に金内さんと一緒に出演してくださった

大場泰正さん、

栗田桃子さんも出演している。栗田さんは蟹江敬三さんの娘さんで、今回は金内さんをじーっと見つめる仕草やリアクションの表情が蟹江さんとそっくりで、芝居の内容とも重なり、泣いてしまった。


登場人物の一人ひとりが孤独な闇を抱え、この世界の中でいかに生をまっとうすべきか?それともしないのか?いつかは終わりのくる、この宇宙の中に、自分の終の棲家を探そうとでもするような、見ごたえのある芝居だった。

金内さんの演技が光る。81歳、淀みのないテンポのある言い回しで、長田さんの台詞をダイナミックにロマンテックに喋っていた。

朝倉摂さんの娘さんの富沢亜古さんもエロティックな沼を内包した寂しいオバさんを好演しておられた。


このアトリエで私は状況したての頃につかこうへい作「戦争に行けなかったおとうさんのために」の初演を観た。

観やすい劇場だと感じ、劇団を旗揚げしてから貸して貰えないか?問い合わせたことがあった。

文学座の公演以外には貸すことはできないという返答であった。


久しぶりにアトリエで観劇し、外の実際の庭も効果的に使われていて、鵜山さんの演出も良かった。

過酷な戦争体験の後、現実を生きづらくなってしまった一人の老人の中に、おいてから見えかくれしてくる

「少年性」のようなもの。「生まれつきの死刑囚だとしても、僕は花に水をやる」という台詞が泣ける。

ラストシーンなどは伏せるが、「たった一株だけ、夜に咲く朝顔がある・・・」という金内さんの嘘の着き方がうまい。