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昨日、撮影が早く終わったので、急きょ上野に行き、

ストアハウスで上演中のコスヒさん出演の「鼠」を観に行くことにしました。

それまで時間があったので、上野の西洋美術館で「ミケランジェロ」を観ました。

昨年イタリアに行ったときにシスティーナ礼拝堂の本物を観ました。

今回はその設計図やディテールの素描などが展示されていました。

84歳で書いた設計図には励まされました。また一生涯独身で作品を作り続けた彼が甥にあてた手紙なども展示されていました。

そして偶然音声ガイドが中村勘九郎さんでしたのでじっくりと聴かせていただきました。


写真は庭にあるロダンの「考える人」です。

幼児の頃、父が東京に出張に行ったおみやげがこの「考える人」の写真の絵ハガキでした。

「なんだこの写真は?」と子供の頃はどうして父が私にこの写真をプレゼントしてくれたのか?

理解できませんでしたが、高村光太郎に心酔していた父の思いを知った時に謎がとけました。

「ロダン」の生涯を最初に翻訳して日本に紹介したのは光太郎です。

ロダンのこの考える人に込められた思想や感覚を小さい私にも伝えたかったのですね。

東京の焼け跡を後にして山形に戻り教員になり、そして出かけた東京上野の美術館で観た考える人にどれだけ感動したのか。

今なら私にも分かります。


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運転を頼んだ元劇団員の友寄君と佐藤友紀ちゃんです。

一緒に行きました。

歩きすぎてクタクタでした。


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これはプールデルの作品。

私は初めてフランスのパリに取材旅行に出かけた時、ブルーデル美術館に行って

衝撃を受けました。30代前半だったと思います。

働く女性のりりしい姿の彫刻に感動したのです。ピカソの赤の時代の絵の女性の形に似ていました。


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このロダンの地獄門も、パリで観た時に衝撃を受けました。

人間の苦しみや悩みをそのまま作品にすることで、苦悩する多くの人々に

生きる勇気や希望を与えた作品だと考えます。

子供の頃は本当に怖かったけれど、58歳の今は素直に感動できます。


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また上野でもラーメンを食べました。

三人で分けました。

疲れているのに元気そうに見えます。

疲れているのに食欲はなくなりません。


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せっかく「コスヒ」ちゃんと会ったのに写真を撮るのを忘れました。

韓国のコルモッキルという劇団の「鼠」という、10年前に上演した作品の再演です。

コスヒちゃんとは前に一緒の舞台を踏みました。本当に演技のうまい女優さんです。

いつかまた一緒にやりたいです。

「鼠」は利己的な社会の風刺の芝居で、自分たちさえよければ、人のことなどは構わない閉鎖的な家族を描いた作品でした。

自分たちの暮らしのために人を殺害して人肉を食べる家族の話です。子供を殺し、その母親に自分の子供の肉を食べさせ、食べさせた後にその母親も殺して食べてしまう家族です。しかしその家族はなんとも孤独で、殺伐としていて、兄は妹と交際し、妹は妊娠してしまいます。人を殺して食べているので、自分の家族しか信用できなくなり、何か自己愛に似た異常な心理に捕らわれているのだと思われます。

今考えなくてはならない問題を孕んでいる作品といえます。

もう一本は日本の劇団「温泉ドラゴン」の芝居でした。これも再演だということです。男性4人の芝居で

「birth」という作品でした。必死に汗を流して熱演する姿に好感を持ちました。

男性の母親に対する思いというのは物凄いのだな。と改めて思いました。

四人の孤児たちの話なんです。二歳の頃に両親を事故でなくした30代の男性が「時々夢を見る。

両親と三人で暮らしている夢だが、父も母も20代で俺より若いんだ。だけど息子の俺と三人で暮らしている夢なんだ」という台詞で泣いてしまいました。

そして作者が演じている、切れる男の役の人物があまりに腹立たしく、思わず、舞台にあがって殴りそうになってしまいました。毎日寝不足で疲れているため、ストーリーに没入してしまったのです。

小劇場は目の前がもう舞台なので、自分をコントロールできないと大変なことになってしまいますね。

舞台にあがらなくて本当に良かったです。