昨日は家でペットの取材の後、渋谷のアップリングで公開された「晴れ舞台はブロードウェイで!シニア劇団の挑戦」のアフタートークに参加した。「パンドラ」という、いつも深みのある問題作を発表している制作会社の中野さんから依頼されてのことである。ドキュメンタリー映画が中心で、だいぶ前に「ナヌムの家」という韓国の従軍慰安婦を扱った作品の上映の際に、シンスゴさんと対談させていただいてからの縁である。

大阪の「すずしろ」というアマチュア劇団が「煙が目にしみる」という作品を稽古しているうちに、ブロードウェイで、しかも英語で上演してしまったという驚きのドキュメンタリー映画である。

劇団員は63歳から84歳までの、皆さん仕事を持っておられる方々。二年がかりでの稽古である。代表の秋田さんは63歳明るく親しみのある、声の大きな女性である。演出を富良野塾を卒業して地元に帰ってきた倉田さんにお願いした。その倉田さんがこの映画も監督している。

27歳だった倉田さんは最初はしぶしぶだったが、稽古を進めていくうちに劇団員たちのまじめさ、純粋さ、そして懸命なるがゆえのおかしみの虜になっていったという。劇団を宣伝するために使っただけのはったり「ブロードウエイを目指す」という言葉を実現させたくなり、みんなを引き込んでしまった。

最初は戸惑う劇団員たちが徐々にブロードウエイでやってみようという気持ちになっていく過程が面白い。

現地でのお客たちにきちんと台詞が届き、熱い感想を生み出すまでになっている。凄い。

この「すずしろ」では私の作品「光る時間」も候補になったが男優が足りなくて断念したという。ぜひやってほしかった。

昨日書いた「長久手市民劇団」もそうだが、仕事を持った年配の方が舞台に立つと、立っただけで、その方の生きざまが存在感となって、役を膨らませてくれる。

長久手で満州から引き揚げてきたという劇団員は「もう、満州で体験したことは人に言わずに墓場まで持っていこうと想っている」とおっしゃったことが忘れられない。私の戯曲「ゲゲゲのげ」の中の台詞「すっぱいビワの実吐き出せない」という台詞のことを彼女は「そういうことですよね?あまりに残酷で苦しすぎて、それはもう語れないのです」

そういった体験をなさった方たちの演技には何も言わなくても深みがある。

プロの演劇人が逆立ちしてもできないことである。

今を生きるということは本当に大変なことである。膨大な過去という時間を経た、今、彼女たちはそれを生きている。凄いことである。

あきらめず、目的を持って生きる。夢を見る。その大切さを改めて感じた。


夜は夫のアルバイト先の若者たちが13人で遊びに来てくれた。私は一人で料理を作った。ごまみそ豚野菜鍋と自慢のポテトバター。みんなおいしいと言ってくれた。帰りにみんなで皿を洗って片付けて帰ってくれたので助かった。

今日は大阪行きの新幹線の中である。明日本番の朗読「伊豆の踊子」今朝五時まで練習していた。台本に振り仮名が振っていなかったので、振りながらの練習だった。昔の漢字が難しくて読めないことにショックを覚えた。

今文庫本には振ってあるので自然に読めていただけだった。

携帯で読んでいる皆様、長くて読みにくいでしょ?でもついつい長くなっちゃうんだな。短く、日に何度も書いた方が良いのかね?

それから質問のあった、私の趣味は温泉に入ることかもしれません。それから人を観察すること。