病名を告げられ、いよいよ治療が始まった。


最初に始まったのは、放射線治療だった。


放射線治療の機械がある部屋は、病院の地下にあった。


暗くて長い廊下を、ずっと歩いていった先に治療室がある。



そこは、放射線治療を受ける患者さんしか来ない場所だった。


その中には、ときどき子どもの姿もあった。


同じように治療を受けているのだと思うと、何とも言えない気持ちになった。


「この子も頑張っているんだ……」


そう思うと、胸が締め付けられるようだった。


治療室の中に入ると、廊下とは雰囲気がまったく違っていた。


あたたかみのある照明に、壁にはきれいな絵が描かれている。


少しでも患者さんの気持ちが落ち着くように、ということなのだろう。


でも、その中にあるのは、とても大きな放射線治療の機械。


やわらかな雰囲気の部屋と、大きな機械。


その対比が、今でも印象に残っている。


治療そのものは短時間だった。


機械が動き始めると、何とも言えない音がする。


当時はそう感じた音だけれど、今の機械はどうなのだろう。


照射されている間、痛みはなかった。


だからこそ、最初のうちは


「これで本当に治療になっているのかな?」


そんなことを思ったりもした。


目には見えない放射線。


治療を受けているその瞬間には、痛みもない。


けれど、毎日毎日、治療を続けていくうちに、少しずつ体に変化が出てきた。


だんだん食欲がなくなっていく。


体が重く、倦怠感も強くなっていく。


そして、治療している部分の皮膚が、まるで日焼けをしたように変色していった。


目には見えない放射線だけれど、


「確実に私の体に負担がかかっているんだ」


そう感じるようになっていった。


それでも、治療は毎日続く。


今日だけ頑張れば終わり、というものではない。


一日、また一日と治療を受けていく。


そして、この放射線治療は約1か月続くことになる。


まだ治療は始まったばかりだった。