中学受験が終了して、1週間が経ちました。
そろそろ生活が正常化してくるころかと思います。
中学受験業界を30年以上見続けてきた私の視点から、
今後、大切なことについて、書かせてもらおうと思います。
本邦初出しの内容ばかりです。
<精神的状況について>
「鉄は熱いうちに打て」ではないですが、
お子様の勉強へのモチベーションが一番高い時期です。
「高校受験ではリベンジをする!」という発言が一番多く聞けます。
ただ、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」なので、
このモチベーションもGWまで持てば良い方だと思います。
GWをこえました!と自慢されても、
夏休みには基本的に収束します。
一番大切なのは、受験が終わってから新学期が始まるまでの2ヶ月です。
さらに、「受験が終わったんだから、ゆっくりしようね。」と言ってしまうでしょう。
ここで忘れてはならないのは、
「人間は継続することで力を発揮できるようにできている」ということです。
大抵の生徒さんは、受験前の偏差値が一番高いです。
模試は、1月前半か12月前半までしかないため、
生徒さんの大半が、自分のピークの学力を知らずに終わります。
自分の力を正確に把握できている生徒さんは、
「1月31日に模試があればなあ」と思っているはずです。
それは、「毎日勉強をする」という主観が根付いているからで、
受験が終わってからの、この1週間、机に向かっていない。
と言う生徒さんは意外と多いと思います。
この状況が2ヶ月続いたら、どうなるか、容易に想像できるのではないでしょうか。
私の塾では、すでに中学準備講座を始めているので、
そのような生徒さんはいませんが、
まず、とても重要なポイントになります。
この2ヶ月間、有効な勉強をしていきましょう。
保護者の皆様におかれましては、せっかくのモチベーションの高い時期を、
「ちょっと休もうね」の一言で逃がしてしまうのはもったいないです。
休みたいのは、生徒さん本人ではなく、保護者様であることを、
理解してもらえたらと思います。
この休みのせいで、3年後、同じ思いをします。
<英語の目標について>
では、なにをすれば良いの?ってなると思います。
受験が終わった後の、2ヶ月間、必死になって走っても仕方がありません。
次の受験までは、3年あるので。。。
走りきることはできず、さっさと息切れをしてしまうのがオチです。
まずは、中学3年間、高校3年間での、目標を設定することが重要です。
英語は、非常に簡単に目標設定ができます。
そもそも高校受験で上位の学校に合格する生徒さんで、
「英語が苦手」という子は、ほとんどいません。
感覚的に英語が苦手という子はいます。数学の方が好きとか、
当然、温度差はあります。
しかし、客観的にみて、「英語が出来ない」と言う子はいないんです。
その理由として、英語には、英検があり、定期的に効果測定ができるので、
出来なくなったときに、すぐに気がつけますし、
英検の勉強をすることで、すぐに、キャッチアップできるんです。
高校受験が目標の生徒さんについては、受験から逆算して、
以下のような目標設定をしてください。
ちなみに英検は、年に3回実施されます。(SCBTは除きます。)
偏差値68以上の高校を受けたい場合
中学3年生の秋 英検を受けている暇はありません。
中学3年生の春 英検2級を目指しましょう。(準2級に落ちてはいけません)
中学2年生の冬 英検準2級を目指しましょう。(3級は必須です)
中学2年生の秋 英検3級を目指しましょう。
ベストとしては、中学2年の春に3級合格です。
このレベルは、絶対条件として、覚えておいてください。
中学3年生になって、準2に落ちているようでは、上位校受験は諦めてください。
(国語と数学で頑張る手もありますが、高校生活が厳しいです。)
このメッセージは、現小学6年生に書いているため、
今から、準備をしていけば、絶対に大丈夫です。
忘れないようにしてください。
そして、なによりも重要なのは単語です。
単語学習は、毎日ご飯を食べる。歯を磨く。風呂に入る。と同じレベルで、
継続するようにしてください。
<数学について>
私の塾では、数学の先取り学習を進めています。奨励しています。
数学も、知識が多ければ、解ける問題が増えます。
小学校時代は、相似でしか解けなかった問題が、
中学生になると、三平方の定理などが使えるようになるため、
できることが格段に増えるのです。
そのため、今となっては死語ですが、
代数分野と図形分野をわけて、学習するべきです。
SAPIX中学部では、今はわかりませんが、以前は、完全にわけて学習をしていました。
中学2年生の秋には、中学3年生の代数分野が終わります。
そうすることで、中学3年生の1年間、
ずっと計算問題で解けない問題はない。状態になります。
図形についても、中学受験組は相似の問題が解けます。
中学受験を経験していない生徒は、相似がネックになります。
その分、本来であれば、速くすすめるのに、
非受験組にあわせて学習が進むため、
忘れてしまう生徒が多いのです。
現在の高校受験塾は、内申点を重視するがあまり、学校準拠の塾が増えています。
そうすると、非受験組のカリキュラムで学習が進むため、
受験組にとっては、とても非効率になるのです。
そのため、中学受験の勉強を一生懸命したのに、
小学校時代に遊びまくっていた子に抜かれてしまうという逆転現象が起こります。
高校受験塾の多くは、これを狙って引き起こしているのです。
「中学受験の勉強は高校受験では使えないよ」アピールです。
そうすることで、一定数の中学受験アンチを育てることが出来るのです。
大学受験の問題を解くとわかりますが、
中学受験の知識だけでも対応できてしまう問題があります。
(もちろん、絶対数は少ないですが。)
小学校算数からしっかりとした知識を持っていれば、
大学受験数学も幅広く対応できるのです。
その知識を、この2ヶ月で捨ててしまうのはとてももったいないことです。
可能な限り早く、学校レベルの3年分の数学を終わらせることをご提案いたします。
数学は残念ながら、数学検定が基準になりません。
数学検定の問題がよくない。という意味ではありません。
数学検定の問題は、良問も多いのですが、受験数学向きではないということです。
なので、数学の勉強が一番、個人でやると面倒。と言うことになります。
私の塾では、徹底的に数学をやって、英語はアドバイスにとどめ、
必要におうじて、授業をする。というスタイルを取っているのはそのためです。
<まとめ>
今回は、中学受験に合格できなかった方が、どうやって高校受験でリベンジをするか。
その一つの方向性を示したくて書きました。
残念なことに、中学受験で失敗したのは、ご家庭に原因があることがほとんどです。
このように書くと、とげがありますが、5000件以上の家庭を見てきて、
正直な感想です。
タイミングを考えずに、夏の家族旅行だけは絶対に行く。とか、
カリキュラムのタイミングを考えずに、大事な時期に塾を休ませてディズニーに行く。とか
そのような家庭をたくさん見てきました。
そのたびに、相談してくれればいいのに。。。って思います。
中学受験の勉強を3年もやっていれば、休める時期があります。
カリキュラム的に穴があるんです。
にも関わらず、そのようなご家庭は大切な時期に旅行にいっちゃうんです。
そこから、おわかりいただけると思うのですが、
高校受験でも同様の失敗をしてしまうんです。
なので、旅行などの生活もふくめて、
アドバイスをしてくれる先生を見つけることが大切だと思います。
「遊ぶな」と言う先生は、以前はたくさんいましたが、今はそんなことありません。
塾側も、人生のトータルコーデを考えているところもあります。
中学受験に失敗しても、人生の失敗にはなりません。
私の友人で、開成中学→開成高校→中央大学で苦労した子がいます。
地元の中学→県立高校→中央大学ならほめられるのに、
開成から中央大だと、企業様の人事課は、「サボったやつ」と評価されることが多いです。
県立高校から中央大だと、頑張れる子と評価されるようです。
中学受験に成功しても、努力しない子と評価されるのはつらいですよね。
人の評価を気にする必要はないです。
中央大学が例に出てしまいましたが、司法試験合格者も多く、素晴らしい学校です。
他者の評価というのは、どこの物差しで見るかによって大きく変化します。
中学受験の勉強を無駄にしないためにも、この2ヶ月を大切に過ごしてほしいと思います。
進学教室e-revolution塾長
http://www.e-revolution.jp