ここは、アステリア平原。
その広大さ、肥沃さは比類なく、幾多の争奪の的とされてきた。
矢が飛ぶこと、比類なく、そこには火矢も。
的自体が燃え、立つものがなくなることも。
広くとも、廃墟と化したそこでは、土もススに。
焼き畑など、及ぶべくもなく、かつての肥沃さは失われ、人は去っていった。
そのたびに、犬の群れが跋扈し、人がいないことをいいことに、生態系の頂点で寝転がってきた。
下敷きにされたススたちは、大地の中に埋め込まれ、もともと、土と同じ成分をもってもいるので、同じ色に染まっていく。
草花はその上に芽吹き、穂を実らせようとしていく。
頂点にいる犬はそれに気づかず、無意識に動きまわる。
その体重移動の影響を受ける草花と、そうではないそれ。
広大な平原のまっただ中において、展開される景色。
そこには、足を再び踏み入れる存在も。
ススを肥やしにするそこを目掛けて。
一目散に。
人の意識というものは、そこに向きがちだから。
犬が寝ている間に、おいしい部分を掠め取ろうとでもいうのか。
それとも、犬自体を狩りをするためか。
いずれにせよ、人の意思とは、平原のまっただ中に向かいがち。
それが史上、繰り返されてきた。
平原が肥え盛ろうとするとき、決まって、二本足でそれを踏みにじりに。
それが、またたく間に肥えていく、平原に蒔かれた地運なのだろうか。
平坦さ故に、その地運はどこかえ転げ落ちることもなく、そこにとどまってしまう。
ましてや、海抜があまりない平原には、各地からそのような火種が集まってしまう。
川や、山、風づたいに。
特に、北西からは、そのような戦火の息吹が流れこみやすい。
偏西風の影響もあり、またたく間に。
それにより、ペースを増す、二本足。
北西側は急峻の山々が控えるため、そこは下り坂。
それゆえに、勢いよく駆け下っていく。
眠りこけた犬は、それに気づかない。
そのような犬に向かって、武器を持って駆けていく二本足。
その姿を太陽は照らしているけれども、あからさまになっている姿は黒ずんでいる。
ドロとかゴミとかと、区別ができない位。
史上において、穂にありつこうとする二本足の群れとは、こういった姿をしているのかもしれない。
影に満ちており、なおかつうるさい。
音を上げて、迫ってくる。