加えて、風が吹く。

街路だけでなく、隙間があるから、どこからでも。

余裕を随所にたたえた空間は天凛に対する奥行きに富む。

空からの風が、そのままに吹き抜けてくる。

新鮮なる息吹が余すことなく、都市空間に流れ込んでいる。

それは人々の吸う空気を天分に富んだものにし、体内のバイオリズムを高めている。

その余韻は、街路における人々の顔色の良さはもちろん、歩いて行くとより「先端研究特区」となって具現化されている。

 

そこは一面の、研究センター街。

ブラバーダの四分の一を覆うほどの面積を誇る、研究錬。

風が掃き清める景色の中では、その軒が遠くまで見える。

風の存在が、知の景色の姿を筒抜けにしているのだ。

その遠くには、水平線まで見えるだろうか。

東からの風が、海にまで吹き抜ける彼方まで。

天の恵みを秘めたこの地域は、風によりこもることがなく、開けているのだ。

海の彼方まで。

東のキサイエント高原では膠着状態が続く中、ここはそれに凝り固まることのない、さながらの解放区。

空からのそれと、風からのそれが合わさり碧さを鮮明にし、海の彼方まで運んでいく。

このブラバーダの、拓けているもう一つの姿が顕になっている。

遠目には巨大な礼拝堂の姿が見えるが、ここはそのような巨大なものはなく、町並みと同様にゆるっとした間隔でもって、高所からの風に対して、素直だ。

それを広大な面積で含みながら、滞留させることなく、そのまま水平線の先まで送り出していく。

自然、視野が、大陸的なものだけでなく、海の外にも向けられていく。

そこには空の高度な碧さはもちろん、海の深いそれまで垣間見える。

街ナカでは中々見れない度量が、そこには広がっているのだ。

 

この知を看板にもつ特区は、このような高度さと度量を併せ持つ広大な敷地の中で展開されている。

空と海の碧さをバックにして。

その抜け具合をたたえながら、控えているブラバーダのもうひとつの姿。

碧さが相乗されてあまりある場所。

ここからは街の賑いが覗け、礼拝堂が見え、東の方角が仰げる。

空はそのなかで、共通して澄んだ景色を提供し続け、海はそのどこにもない方角に見える。

空と海が重ねる碧さの共鳴が水平線となり、その希少性を一般公開し、地上の騒乱を忘れさせる。

そして、東からの風は、遠くに見えるそこに向かって。