そのような透徹した都市を作り上げる元になったのが、北西の碧き風である。
そのビジョンを鮮明にすることに比べられば、戦闘など局所的なことにすぎない。
むしろ、返り血に染まってしまう可能性すらある。
仕返しをするために、血眼になって戦塵をぶちまけてくる可能性もある。
また、山の中にいれば、山が防壁となってくれもする。
自分たちは、内に注意を注ぎやすくなる。
だから、碧き風は内部にしか吹かない。
マイナスイオンをさえ、宿らせて、人々にくつろぎを提供しながら。
透明性の高い都市空間を作り続けていた。
そんな風に、人々は目を細め続けた。
中には、続く人までいた。
風のおかげで、透徹した都市設計をおこなえたと。
風は埃やモヤを取り去り、先見の明を運んだと。
そして、そのことを風は未だに更新し続けている。
見返りも、ないのに。
毎日、懸命に奔走し続けている。
ブラバーダの民は、風に靡く民。
ブラバーダに住んでいて、そのことを感じない民は少ない。
ブラバーダは風のおかげで、進めた。
世界でも、まれに見る洗練都市へと。
前人未到の領域へ、踏み込むことができた。
見てくれのフロンティアなどよりも、こちらのほうが、よほど爽快だ。
こんな空間で、ともに繋がっていられるのも、風のお陰。
我々は、この風に大声で叫びたい
四方から届く子でやまびこが続出するだろうが、それでもいい。
今まで静かに過ごしてきたが、もう限界だ。
風上を取り囲んで、絶叫したい。
そんな輪を作って、鬨の声を上げたい。
ここに、聖騎士団を結成すると。
いつも何も言わずさっさと次の領域に進んで去ってしまう速さだが、我々は取り囲んでいくと。
我々の鎧は、碧をより深くした色。
碧き風の恩恵を繰り返し受けていれば、そりゃそうなるさ。
積年の透明性を、より深く表現した色。
この色で碧を型どり、その淡さの額縁となろうぞ。
そして、永久保存版の風景を維持していこうぞ。
もちろん、風は、そんな方向に吹いていないことは知っている。
それでも、内なる景色を繰り返し、研ぎ澄ましてくれた風を、この濃さで縁どりたい。
なぁに、積年溜め込んでいたものをぶちまけるだけだ、気にすることはない。
むしろ、清々しい限りだ。
―――そうして、濃紺の聖騎士団が円陣を組んでいた。
左胸の碧を淡くして。
その迸りもまた、常に内に向けて」