「二千年前、北西の国に碧い風が吹いた。

当時の周辺諸国で、その風に追いつける軍隊は、皆無であった。

槍先が届く前に、こちらの急所にいる。

次の瞬間には、碧い亀裂を諸国の軍隊に走らせる。

追いきれない戦術。

はるか先を見据える碧眼。

透徹した眼差しに映る風上。

世界最高峰の風の源泉を仰ぎながら、駆け回っていく。

その風速は、世界最高速。

神出鬼没とさえ言われ、読めない。

机上の戦術論を吹き飛ばす風。

地上の戦術家達では、つぎにどこに吹くのかが読めない。

その風上は、はるか頂上。

そこから吹く風は、予想を遥かに上回る速度。

あまりに神がかっているために、周辺諸国も近寄ることを避けた。

風も、国境線以上には踏み込まなかった。

 

本来、彼は国外には吹かないから。

その碧さは境界線を塗りつぶすには、透明感が有りすぎる。

勢力図を上塗りするよりも、内を澄ませることに注がれた。

故郷の埃やモヤを吹き飛ばし、先々まで見通しが利くようにした。

透徹した景色の中で、人々は先々の文明を覗くことができた、明瞭に。

ビジョンが明確になったことで、路頭に迷うものも少なくなった。

そのような者たちを導く標識もくっきり。

その印を見ながら、人々は道を落ち着いて歩むことができるようになった。

 

人心地つけたところで、新たな道を開拓しようとするものも。

そのビジョンも、透徹した風の中では鮮明。

ゆえに、整然と切り開かれていくフロンティア。

広がっていく街域。

見通しが良く、スペースに余裕があるので人々も落ち着ける。

そこで、くつろぎの空間が産まれた。

それは北西の果てに産まれた、清々しい景色であった。

 

街域は、その間も広げられるも、先々を見通している内に、人々は拡張に拡張を押し着せることに首を傾げるようになった。

内にはゆったりスペース。

外にはそびえる山々。

見通せるがゆえに、平坦でないことがわかる。

それよりは、内のゆったりスペースをさらに充実させるべきではないのか。

山を平にするよりも、建設的ではないのか。

 

そう思っては、視界にはっきりと映る連峰達を見ては、内を振り返った。

そこは清々しかった。

曇らせるものがないがゆえに、そのような癒やしの空間も間近に感じられる。

開拓者にとっては、壁でしかない高山たちも、家からみれば大自然。

景観となり、くつろぎを相乗する色彩に富んでいる。

そこからはマイナスイオンさえ吹き出し、広がった街々をさらに清々しいものにしている。

津々浦々まで見通せる明瞭さで。

ビジョンは、澄み切ったここでは、明らかだ。

住むによし、これからのビジョンを明確にするにもよし。

風が吹き、より北西部を見渡すことができるようになり、いたずらに拡げることよりも、作り出した空間のプロデュース方法が浮き彫りになった。

明確な都市計画のもと、整然とした開発が進められることとなった。

 

山が維持されたおかげで水の量と清らかさが維持され、住宅や農業施設を潤した。

清涼とした住まい空間の中、街路は掃き清められさらに清潔な都市へ。

その一方で、立ち上げられる先端特区。

目覚ましさが、清廉さの中に映る。

津々浦々へと、冴え渡る。

その響きを耳にし、キトル・レア中から押し寄せる人々。

彼らを受け入れるスペースの活用法も、雇用も充実した内部。

透徹したビジョンは急激な人口流入でも、曇ることがない。

かえって、人の多さを利用して、昼夜を問わず透徹した都市へと邁進することができた。

深夜においても、尽きることのない街頭。

その麓で、安心して働く人々。

夜においても、その視界が曇ることがない。

透明性の高いビジョンへと向かって、迷うことなく邁進している。

夜であっても、山々から吹き抜ける風が清々しい。

自身らが働く理由が明確に澄んでいるために、働きがいがある。

悪戯な拡張をやめ、洗練された都市空間は、人々のそのような表情を筒抜けにする。

そのような北西の都市の名はブラバーダと呼ばれ、随一の先端都市として今日まで冴え渡っている。