その風光明媚さが、二人のいる場所にも行き渡っていく。
風が運ぶ、いくつもの淡い色達が、二人の中を駆け抜けていく。
その風に吹かれては舞う、少女の金髪。
金色の筋が、少女の周辺ではためいていく。
たゆたう金髪が淡い風の中でまどい、淡い筋たちと合流していく。
風に投映された少女の金色が、風の淡さに混ざっていく。
淡い青・赤・黄の中に、新たな輝きを加えていく。
取りどりの風の中でも紛れないその色が、太陽の光を満面に受けて輝く。
二人の淡さの中で漂う小金模様が、彩りを増していく。
風が運ぶ砂粒のひと粒ひと粒にまで、その色合いが映っていく。
輝く粒たちが風に吹かれて、二人の間から広がっていく。
そこにこもった若干塩気のある湿気が、温度をより高く保持していく。
周囲よりもさらに暖かな雰囲気が、二人の間から感じ取れる。
その中心にいる少女の暖色の瞳は、ほどよく開いている。
細くも、大きくもなく。
されど、二重に縁取られた栗色は、くっきりと見える。
織り重ねられた瞼は、瞳の虹彩を明瞭に縁取っている。
重ねられた薄肌色は紅にも似て、瞳の色合いを相乗させている。
風が運ぶ淡さも織り込まれて、若干、清涼ささえ帯びて、暖かな瞳との境界線を形成している。
その瞼が閉じられるたびに、満開になる薄肌模様。
太陽光を満面に反射して、眩しささえよらせる。
瞬きが終わり、瞳の景色が広がった際も、少年の網膜に白き色を焼き付けさせる。
開いた瞼の間の暖色とともに、それが瞼の裏を暖かくしていく。
さらに、周囲に漂う金色の景色が、視界を明るくしていく。
白よりも明るく見せてしまうその色が、少年の相貌を晴れやかにしていく。
風に込められた淡さが、少女を装飾し、太陽がそのような少女をライトアップしていく。
南国一の手弱女と呼ばれた少女の姿が、少年の大きな黒い瞳の中で際立つ。
その金色が黒目を顕著に染め上げ、漂う淡さがそこに合わさり、黒目を潤沢にしていく。
少年の色づいていく黒目を、程よく開いた瞳に収める少女。
長いまつ毛の先々にまで色づく、少年の模様が投影されている。
まばたきをする度に、上下のまつげが合わさり、それらが重ねられていき、深まっていく。
薄肌色の目元では、その模様が明瞭によぎる。
他に、ほのかな桃色模様も重ねられて、色合いが付け足されていく。
精彩さの増していく少女の繊毛を、太陽が照らす。
その先々まで、カラフルな光沢に包まれる少女のまつ毛。
合わせて、まつ毛の背景の薄肌色の素肌も太陽光により温まり、桃色を深めていく。
その頬にも、淡い風が吹き寄せる。
少女の桃色も含めた様々な彩りが投影されている風が豊潤になる。
太陽の光がそれらの明度を高めて、艶やかにしていく。
照らされる薄肌色の頬は、白さにも見紛い、辺りの色づきをこの上なく映す。
その頬自身、どこか桃色も漂わせて、辺りに映る暖色をふんだんにしていく。
それを収める少年の瞳の虹を相乗させていく。
数々の若人と隣国を繋いできた大動脈において、繰り返されてきた情景がさらに温度を増していく。
少年の背中の先に映るものが、少女の醸し出す景色により明るみ、彩られ、暖かくなっていく。
少女は自身の頬を特段緩めているわけではないのに、崩れていく少年の相貌。
それを整った顔立ちで見つめる少女。
豊富で長いまつ毛により、程よい目も大きく見える。
その栗色の瞳に映る眩しい色が、少年の瞳の奥にまで差し込んでくる。
目元の輝きと暖かさが、少女の瞳の色づきをくっきりと見せ、少年の網膜に霞むことなく焼き付ける。
ノエリアの景色が凝縮された少女の瞳の色彩が、少年の中に入っていく。
胸まで届く暖かさに、さらに崩れた少年は瞼でもって、少女の暖色模様を包めていく。
少年の瞼が形成する溝では、少女の色彩のみが明るんでいる。
青、赤、黄、そして金と桃。
豊富な暖色と、淡き色が光のなかで溶けている。
もう、少年の瞳には、水滴さえも量が増している。
それらが少女の瞳の取りどりの色彩を幾重にも映らせ、滲ませている。
瞳に映る、五色の虹が温かい。
その雫が頬を伝う際も、温度を失わない。
いや、少女を取り巻く南国の風と太陽が、さらに温度を与えていく。
それゆえに、少年の相貌は崩れて仕方ない。
少女のもっとも暖色に満ちた口元が開かれ「泣き虫」と発せられるも、その崩壊は止めようがない。
大好きだよ。
少女の声に続いた声にならない音が鼓膜を叩き、視覚中枢を超えて脳裏全体にまで反響していく。
以前の整った黒目勝ちはそこにない。
もう、崩れて水滴まみれになり、目の縁の境界線すら滲んでしまっている。
もう、自身の中で大きくなる少女の存在も、はみ出してしまっている。
もはや、大きくなりすぎて、瞳の中では収まらない。
背を猫背にして、足はその前傾姿勢を支えるようにして。
この温暖な景色を前にしては、背筋も足も硬直することはないから。
熱風がそこに滞留し、さらに温度が高まり、ふやけていく少年。
それでいて、緩やかな風は、少年の伸びを遮ることはない。
太陽が上で熱し続けくれるのだから、余計に伸びていく。
少女の肩の後方辺りまで、ゆっくりと。
その間、少女も体を動かすことがない。
暖かさを湛えたまま、じっとしている。
きらびやかな風に包まれて、太陽にそれを照らしてもらいながら。
後ろで結ばれる腕の中で、じっと。
いつの間にか、整えられた相貌を崩して。
まつげと二重に満ちた境界線を、若干、滲ませて。
ほのかどころか、濃い桃色に染まる頬を少年の胸に埋めて。
口元から溢れる吐息も全部、少年に受け止めてもらって。
じっと、じっと。