そして、白色溶接が最後の結びに至ろうとしたとき。
金髪の少女は、二人にその相貌を向ける。
辺りに一瞬、静寂が流れる。
作業を終えたハルキが、ハウミを振り返る。
その視線にも、頬を緩めて返すハウミ。
以前、瞳から放たれる虹色は、湛えられたまま。
乾いた塩の後と、白い塩の溜りさえ覗ける二人に向けて、視線の虹が光の粒を増す。
その彼女にハルキが親指を立てては、その指の腹を二人の方角にもっていく。
そうして、ハルキの方へ頷くハウミ。
こぼれそうな虹を、湛えたまま。
その湛えたものを投影したまま、その瞳を縦に振るハルキ。
と同時に、頬を俊敏に跳ねさせるハルキ。
彼の目じりに幾筋ものしわが浮き上がる。
また、彼の頬も、軽快な輪郭では収まりきらないほど、崩れている。
瞳にハウミの大粒の光を、湛えながら。
それでいて、視線を二人にもっていく。
ハウミも、そのまま二人に視線を寄せる。
先ほどよりも、湛えられた光の半径が大きくなっている。
それを湛えるべく、形のいい瞳を細めている。
その淵には桃色が鮮やか過ぎるほど差し込まれている
紅というには、ささやかに、それでいて果肉が充溢しているような色合い。
そのような色に包まれた瞳の中で、密度を増す虹色。
一方、手のひらは令覧室の下の、とある方角の床に当てられている。
白熱していた今では、もう冷たい床ではない。
それは暖かく、彼女の今の相貌を支える床と続いている床である。
その温度が、彼女の中に入り、余計にその表情を和やかにしていく。
彼女の頬を伝い、床に続いていく汗が、その輪郭を光ってみせる。
桃色の温度のある果肉が、静かに煌く。
開かれる口元のたおやかさを、表面にまで光らせる。
熱い一室で、温められた唇が溶解していくのがわかる。
相変わらず、かすかな光を、その息に織り交ぜながら。
「・・・・このレバーは、みんなで引こう。」
最高潮にまで高まった一室の中で、放たれる光の粒。
それはキラキラと輝いていはいても、温室の湿度に満ちていた。
低く湿り気のある、変わらないその声は、皆の鼓膜をまどろませる。
それでいて、床の下にまで確実に届く波長を持っている。
されど、ダムを溶解させたり、体制を溶かすようなものではなく、皆の芯を暖める波長に満ちていた。
彼女の鷹揚な二重の目じりからは、光の風が、吹き抜けていく。
七色の湿気にくるめられ、変えていく景色。
それを湛えるかのように、目じりを長くさせていくハウミ。
彼女の二重の紋様は、そこに桃色模様の華を作る。
暖色が豊富に織り込まれたそのラインは、少年二人の鼓動を早くしながらも、血流を安定を早めるものになっていた。
二人の少年ともに、虹を吐く瞳をそのままに、表情を急速に和ませていく。
二人で、いそいそと沸き立ちながら。
少年達を動かすハウミの視線を見て、ため息をつく少女もいる。
息が計れた後の肩も下がるが、またその肩を上げつつ、おでこにまで手を持っていき、天井を仰ぐ。
白い光灯の明かりが、そこに見える。
白というよりも、暖色よりの光。
よく見ると、七色の光子が繋ぎ合って、出している閃光。
それは、真っ白というよりは様々な色の迸り。
赤、黄色、青、桃色、碧の光子が、そこに垣間見える。
それらが合わさらなければ、白にも似た閃光を生むことはできない。
赤だけでも、黄色だけでも、赤と黄色だけでも。
なぜか、見ているうちに目に水分が溜まっていく。
たまらず、視線を落とすキーア。
右の手で、ひそかな水滴を払う。
そして、コクリと頷き、ハウミに瞳を向ける。
それに小さく頷く、桃色模様。
その間、急増にて据付けた支えの検証をしている少年二人。
その脇で様々な光子をたゆたわせて、見詰め合う少女達。
検証の音が響くな中、その視線を輝かせて、歩み寄るキーア。
ハウミも、キーアに向かって。
その瞳から虹をこぼしながら、どちらからともなく手を差し出す。
やわらかく結ばれる、二つの色を宿した量の手のひら。
それだけでなく、互いの瞳を近づけてお互いの色を確認しあう。
照らされる蒸気の光が、そこを吹き抜ける。
その風に、目じりからこぼれた光子が、混じり黄色と桃色に染まる。
「他の色は」と、そばにいる少年達を呼ぶ二人。